肝臓機能を活性化する黄色い成分
★ウコン(クルクミン)
肝臓の強い味方
 ・お酒を飲む機会の多い方に
 ・胃の調子が気になる方に
 ・コレステロールが高めの方に
 ・活性酸素の害を予防したい方に
 ・免疫機能を高めたい方に

健康茶として珍重された沖縄の「うっちん茶」
 ウコンは、熱帯アジア原産のショウガ科の植物です。亜熱帯育ちなので寒さに弱く、日本では主に沖縄で栽培されています。沖縄では「うっちん茶(ウコン茶)」として飲まれるのが一般的で、本土の盆踊りにあたる8月のエイサーでは、3日3晩泡盛を飲みながら踊り明かしますが、ウコン茶で酔いをさます人が多いようです。ウコン茶は肝臓の機能を高めるほか、かつて特効薬のなかった時代には、結核や肋膜炎、喘息といった病気に効果をあらわすものとして珍重されていました。
 琉球から江戸に運ばれて、木綿や紙を染色する「ウコン」として用いられましたが、今でもたくあん漬けや栗の甘煮に着色料として使われています。
 世界的には、インド、中国南部、インドネシアなどで大規模に栽培され、香辛料の「タールリック」としてインド料理などに広く使われています。また、インドでは女性がターメリックを皮膚に塗る習慣がありますが、これは
ウコンの抗菌作用や坑炎症作用が古くから知られていて、紫外線や細菌感染などから皮膚を守る暮らしの知恵だと考えられています。さらに、今でもインドネシアでは、結婚式にターメリックで色付けした黄金色の料理を供する風習があり、暮らしの中でウコンが珍重されている様子がうかがえます。

坑酸化物質クルクミンの含有が一番多い「秋ウコン」
 ウコンの種類は非常に多く、インドネシアには20〜30種類、中国にも20種類ほどあるといわれています。日本では、秋ウコン、春ウコン、ガジュツなどがあります。
 中でも食品として最もよく知られる秋ウコンは、秋(8〜11月)に花を咲かせることから名づけられました。薬効成分は黄色い色素のクルクミンで強力な坑酸化作用があります。薬用部の根茎にもっとも多くクルクミンを含んでおり、鮮やかな黄金色です。春ウコンは春(4〜6月)に花を咲かせますが、根はクルクミンが少なく薄い黄色をしています。主に生薬の「橿黄」に使われています。ガジュツの別名は「シロウコン」「ムラサキウコン」。根は紫がかった白色です。苦味が強いので主に薬用に用いられます。
 香辛料のターメリックやウコン茶の材料となるのは、クルクミンの含有が一番多い秋ウコンのことをさします。

坑酸化作用のほか肝臓の解毒酵素の活性を高める
 クルクミンには、
老化の元凶とされる活性酸素などを直接的に無毒化する働きがあります。
 また、人間の体が本来持っている解毒酵素の活性を高めることで、アルコールや環境ホルモンなどの有害物質から体を守ることができます。また、坑酸化酵素の活性を高めることで、間接的にも活性酸素の無毒化に役立っています。
 このほかにも、肥満や生活習慣病の予防につながる作用が明らかになってきました。しかし、大切なのは、クルクミンはウコンにしか含まれていない成分だということです。
ウコンを摂らなければ、クルクミンを補給することはできません

50歳をすぎると、活性酸素の害を受けやすくなる
 肝臓には全身の10〜14%もの血液が流れ、血液中の成分からさまざまなものを合成・分解して体の各部に送り出したり貯蔵したりと、多様で重要な仕事をしています。肝臓が、体内の「化学工場」ともいわれる所為です。
 この複雑な仕事をこなすために、肝臓内で多くのエネルギーが産生されています。細胞内のエネルギーがつくられるのですが、この過程で多量の活性酸素が発生します。
 有害な活性酸素に対抗するために、人間の体には坑酸化酵素を合成する能力が備わっています。脳組織を調べた研究では、50歳ぐらいまではあまり活性酸素によって傷つくことはありませんが、それ以降は急激に傷ついた細胞が増えることが確かめられています。
 しかし、50歳を過ぎてから急にタバコをたくさん吸うようになったり、紫外線を多量に浴びるなど、活性酸素を過剰につくりだす要因が増えるとは考えにくいですね。
50歳をすぎると、もともと持っている坑酸化能力が低下するため、活性酸素で細胞が傷つきやすくなると考えられます。肝臓の肝細胞も例外ではありません。加齢とともに活性酸素の害を受けやすくなっているのです。
 クルクミンは活性酸素に直接対抗しますから、肝臓にとってはうれしい成分であり、ぜひとも毎日補給してほしい成分ともいえます。

クルクミンはアルコールや有害物質を無毒化する
 お酒を飲むと酔いが回りますが、いずれは酔いがさめてしまいます。これは肝臓のアルコール分解酵素の働きによるものです。まず、アルコールは肝臓の中で分解酵素によって、アルコール→アセトアルデヒド→酢酸→水と炭酸ガスに分解されて、最後には体の外へ排泄されます。この分解酵素は胆汁から分泌されますが、胆汁の分泌は加齢とともに低下するので、中高年になると若い頃よりもお酒に弱くなることが多いのです。クルクミンには、この胆汁の活性を促進させ、分解酵素を活性する作用が、動物実験で確かめられています。
 また、アルコールを分解する過程でも活性酸素が発生して、肝細胞を傷つけます。クルクミンは強力な坑酸化作用がありますから、活性酸素に直接働きかけ肝細胞を守ります。
 さらに、肝臓はアルコールだけでなく過酸化脂質や有害物質を無毒化する働きをしています。
クルクミンは、アルコール以外のさまざまな有害物質を分解して無害化する酵素の働きを助けています。

「肥満・コレステロール低下」脂肪の蓄積や酸化を抑えて分解を促進する
 肥満は、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病を招く危険因子ですが、最近の研究でクルクミンが肥満を非常によく抑えるという結果がえられています。
 クルクミンには、脂肪を合成・蓄積する酵素を抑え、逆に分解する酵素を促進する効果があると考えられています。つまり、クルクミンを摂ることで、脂肪を貯めにくくなります。また、レプチンという食欲を抑えるホルモンを増やす働きもあることが最近報告されています。
 このほか、悪玉コレステロールの酸化を抑えることによって、
動脈硬化を予防する働きも確かめられています。

「糖尿病」白内障などの合併症を予防
 糖尿病は血液中に利用できなくなった糖がたまった状態が続く病気のことで、体のさまざまな器官に合併症を引き起こします。本当にこわいのはこの合併症です。クルクミンには血糖値を引き下げるような働きはありませんが、坑酸化作用から白内障や糖尿病性腎不全などの合併症を予防する効果があることが確かめられています。

「免疫力の調整」アレルギー性疾患を改善する可能性も
 クルクミンは、坑酸化の働きによって免疫細胞のダメージを防いで、免疫力の低下を予防する作用があります。また、一見相反するようですが、過剰な免疫作用を抑える働きを持っています。免疫作用が過剰になると、本来攻撃しなくてもよいものを攻撃してアレルギー反応による炎症症状を起こしますが、クルクミンにはこうした免疫細胞による炎症を抑える効果があります。
 免疫力は、過剰になるとアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患を招きますし、低下すれば病気への抵抗力が低くなります。50歳をすぎると加齢と共に免疫力が低下していきます。健康を維持するためには、免疫力の調整に役立つウコンを取り入れていくことが大切です。

「ガン予防」皮膚がん、大腸がんの予防効果に期待
 クルクミンは免疫性の炎症に作用するので、皮膚がんや大腸がんなど炎症性のがん予防への効果が期待されています。乳がんや腎臓がん、肝臓がんへの関与の研究も着々と進んでいます。
 近頃は、「天寿がん」という言葉もあるように、がん細胞が発生しても成長をできるだけ遅らせて、その間に天寿をまっとうしようという、がんとの共生も考えられています。クルクミンのような、食べ物に含まれている機能成分が、がん予防や進行抑制に関わってくると思われます。

食品として摂るなら1日1g、サプリメントなら30mgを目安に
 ウコンのクルクミンは、消化吸収されて摂取後30分から1時間ほどで血液中に入りますが、8時間ほどで代謝されて血液中から消えてしまいます。体の坑酸化力を高めるためには、できれば1日に1回、2日に1回でもいいですから長期にわたって摂ったほうか゜いいでしょう。
 しかし、ウコン(ターメリック)はカレー料理の色づけなどに使われる香辛料ですから、毎日食品として摂り続けるのは困難です。食品として摂りにくいものこそ、サプリメントを利用することですね。クルクミンとして1回30mgを目安に摂取されるとよいと思います。
 摂取後約30分で血液中に入り込みますから、お酒を飲む前にクルクミンを摂っておくと、即効性が期待できます。悪酔いや二日酔いの予約のほか、高カロリーの食事を摂っても脂肪の蓄積を抑える効果があるでしょう。また、二日酔いで体がだるいときに、カレー料理でクルクミンを摂取することは、アルコールの分解を促進する理にかなった方法です。