体のことを考えすぎるあなたへ
日常生活での賢い健康法
23.ヘッドホンで音楽を聴く人は、ビタミンB1の補給を心がける
 いまや電車やバスの中に限らず、街を歩いていてもヘッドホンをつけて音楽を聴いている若者をあちこちで見かけます。
 この流行は、若者のファッションのひとつとして完全に定着したようで、中高年のサラリーマンにも愛用する人が
増えています。音楽が好きな人がいつどこでも聴ける、このヘッドホンステレオは偉大な発明といっていいでしょう。
 しかし、適当なボリュームで聴いているのならともかく、電車などの中で少し離れたとこるにいる若者のヘッドホンからシャカシャカという音が聞こえてくることがあります。うとましく感じる反面、あんな大きな音で聴いていて耳がおかしくならないかと思うのは私だけではないでしょう。
 
大きな音を聴き続ければ、もちろん難聴になりやすいが、それよりも体にもっと悪いことがあります。音楽を聴いている間に、彼らの体内からビタミンB1がどんどん失われていってしまうのです。しかも、音が激しければ激しいほど失われる量は多いのです
 音でも光でも、外部から体に与えられる刺激はストレスとなります。すごいボリュームでギンギラギンのロックでも聴いていたら、かなりのストレスです。そのストレスから体を守るためにビタミンB1がどんどん使われてしまうのです。
 
ビタミンB1は、体内で糖の代謝を助ける働きをしていますし、アルコールを肝臓で分解するときにも使われます。最近の若者は糖分のたっぷり入った清涼飲料水をよく飲むし、くわえてアルコールは飲むわで、両方でビタミンB1を使いすぎて、ただでさえ不足ぎみです。そのうえ、さらに音のストレスでビタミンB1が失われるので糖の代謝が思うようにできず、砂糖の害がもろに現れることになります。
 また
ビタミンB1が不足してくると、イライラしたり、気難しくなって協調性を失うこともある。そのため直ぐにカッとなってけんかをしやすくなるので、ヘッドホンで音楽に聴き入っている若者に「キミ、うるさいよ」と注意するときは、冗談ではなく気をつけたほうがいい
 さらに、勉強や仕事などへの意欲が弱まり、人と会うのもいやになって、すっかり社会性がなくなることもあります。いわゆる自閉症になってしまうのです。
 ビタミンB1は、もともと日本人には不足しているので、ヘッドホンで音楽を聴くのが好きな人は、意識的に摂るように心がける必要があります。一番いいのは白米を玄米に代えることですが、面倒だという人はレバーや豚肉をよく食べるようにすることです。そのとき、ニン二クをいっしょに食べるとビタミンB1を吸収しやすくするので、より効果的です。

24.体にいいからといって朝鮮人参を常用すると高血圧になる
 朝鮮人参は、漢方薬の中でも王様的存在で、
万病に効くとされています。朝鮮人参の有効成分の一つはサポニンで、サポニンにはタンパク同化作用があるので、即効的かつ持続的なスタミナの維持と疲労回復にたしかに役立ちます。しかし大半は「朝鮮人参だから効く」という暗示的効果のほうが大きいのです。
 
とくに、サポニンには血圧を上げる作用があり、腎臓の作用も低下させるので、血圧が高い人が朝鮮人参をとるのは避けたほうがいいでしょう。また、とりすぎると、胃腸の悪い人は下痢を引き起こすので注意することです
 さらに、
朝鮮人参には骨盤内臓器を充血させ、蠕動運動を促進させる働きもあります。したがって妊娠が飲むと子宮が動きだし流産の恐れもあるため、妊婦は絶対に飲まないようにしたい。が、骨盤内の臓器を温めることで一つだけメリットがあります。それは、夜尿症の子どもの場合で、おねしょを治すには一番良い。
 ほかの漢方薬にもいえることですが、健康な人が飲めば健康増進にはつながるが、漢方薬にも副作用があるので、何か持病のある人がむやみに飲むことは禁物です。
 

25.”無病息災”より”一病息災”のほうが長生きできる

 
無病息災という言葉のように、病気にもならず人生を過ごせれば理想ですが、いかんせん私たちは生身の人間である。なかなかそうはいきません。とくにストレスが非常に多い現代社会では、表面的には無病息災に見えていても、何かしらの病をかかえている人は多いものです。
 
働き盛りで元気一杯だったサラリーマンが、ある日突然、脳卒中や心不全で亡くなることがあります。そういう人は、それまで病気らしい病気をしたこともなく、医者にかかったこともないという場合が多い。だからといって安心していると、最悪の事態をまねくこともあります。
 いっぽう、入院するまでもないが、どこかに病気をかかえているという人は、自分の健康管理に気をつけ、あまり無理をしません。体調がおかしいとなれば、すぐかかりつけの医者にみてもらう習慣がついているので、結果として一病をもっている人のほうが、健康そのものにみえるような人よりも長生きしているようです。
 しかし、病気などにならず、健康であれば、それにこしたことはありません。要は、自分の健康を過信することなく、定期検診を欠かさず受けて、自分の体の状態をきちんと把握しておくことが大事なのです。ガンでさえ早期発見すれば治せるのですから。


26.”民間療法”には、逆効果のものもあるので要注

 よく、働きざかりのサラリーマンが酒を飲みにいったりすると、決まって健康のことが話題になる。「どうも肝臓が悪くて」とか「血圧がちょっと高いんだ」という話になると、必ず「それには、これがよく効くよ」などと民間療法を薦める人がけっこういるようです。
 
民間療法の”薬”の原料は、山野に生えている草の花、茎、根、木の皮、木の実などが主なものですが、なかには海草や動物の化石のようなものもあります
 薬や医学が発達していない時代に、病気を治すために先人たちが経験と知恵をしぼって発見したそうした”薬”の中には、今の医学からみてもきちんとした根拠のあるものも、たしかにあります。つい、ひと昔前まで使われていたのですから、それなりの薬効はあるけれども、その効きめの範囲はかなり狭いことを知っていてください。
 たとえば、
ゲンノショウコは下痢に効くとされており、それを飲んで下痢がピタッとおさまったという人もいるでしょう。それは、その人の体質と症状がうまくあったというだけで、ひと口に下痢といっても、その症状は千差万別であり、それぞれ体質もちがうため、誰にでも効くとはかぎらない
 また、民間療法の”薬”は値段の高いものが多い。これは、値段が高いだけに希少価値があり、効用があるのではないかという病人心理につけ込んだもので、事実、高いほうが売れているというのです。
 しかし、
そのほとんどが医薬品まがいのものといってもいいので、ウソと本当をきちんと見分けることが大事です
 よく民間療法の本などには、たとえば
サルニコシカケは制ガン剤で、煎じて飲むといいといわれていますが、どう煎じていいか書いてないし、鳴戸の渦潮に鍛えられたワカメは高血圧にいいなどといっても、渦の中からどうやってワカメを獲ってくるのだろうか
 また、熊の胆汁は石を溶かす作用があり、これは実験でも認められていますが、だからといって熊の胆を飲んでも人間の胆嚢には入らずに、みな便となって出てしまうだけで、まったく効果はありません。
 こうした民間療法の”薬”の中には副作用のあるものや不潔なものもあるので、ほかの病気を引き起こすことにもなりかねない。
 したがって
人から親切にすすめられたとしても、自分勝手に判断せず、きちんと医師に相談してから服用したいものです