体のことを考えすぎるあなたへ
日常生活での賢い健康法
M風邪をひきやすい人は、冷水シャワーを試してみるといい
 風邪の特効薬は、いまだに開発されていないが、人がなぜ風邪をひくのかというメカニズムの研究はずいぶん進んでいます。その一つに、自律神経の失調があります。自律神経とは、不随意筋の運動をコントロールし、腺の分泌を受け持っている神経であす。この
自律神経の働きが狂ってしまうと、風邪に対する抵抗力が弱くなるのです。
 よく生活が不規則になると風邪をひきやすいといいますが、これは生活のリズムが狂ったため、自律神経に失調をきたしたというわけなのです。そこで、仕事上、不規則な生活が避けられないのなら、まず自律神経を鍛えることを考えるといい。それには、たとえば入浴のときに「温冷交代浴」という、
湯船につかる入浴と冷たいシャワーとを交互に繰り返す方法が効果的です。これを2〜3回やれば、自律神経が刺激され鍛えられるのです。ただ、はじめから無理に冷たい水を浴びないで、徐々に慣らしていくことです。
 昔から、湯上りに冷水を浴びると湯冷めしないといわれていますが、医学的には最後に水浴びをする効果はそれほどありません。むしろ湯上りのあと、体を濡らしたままで一服したりせず、
すぐタオルで拭くことを心がけるほうが大事です。

N「一日三食、8時間の睡眠」が体にいいとは限らない
 一日三食の適切な食事と時間睡眠、これは、繰り返しいわれる健康な生活の目安ですが、人間にはそれぞれ固有のリズムがありますから、必ずしも目安を厳守しなければならないわけではありません。むしろ、各自の固有のリズムを乱さないことのほうが大切です。
 一年に四季があるように、一日にも24時間を色分けするリズムがあります。大きくいえば昼と夜があり、人間の体を中心に考えれば、もっと微妙なさまざまなリズムがあります。たとえば睡眠時間ひとつとっても、目覚めのタイミングいかんによっては、四時間ですっきりすることもあれば、九時間眠っても寝不足を感じることもあります。
 結局のところ、自分の体のリズムは自分がいちばんよく知っているし、
そのリズムに従ったほうが体調もいい。それがたとえ他の人たちの平均値と違っていたとしても、経験的に身についている自分固有のリズムを大切にすることが、健康的ともいえるのです。
 とかく自分を殺してまでも”滅私奉公”することが望まれるサラリーマン社会ですが、自分のリズムは大事にしたいものです。だからといって、遅刻などをしていいということではない。あくまでも社会人としての常識の範囲内でのことは言うまでもないでしょう。


O摂りすぎると体によくないビタミンは何

 
海外旅行のお土産といえばウイスキー、ブランデーなどの洋酒かブランドもののバッグと相場が決まっていた。ところが、ここ2,3年、アメリカへ行った人がビタミン剤をお土産に買ってくるというケースが目立つようになってきています。
 アメリカでは、ビタミン剤は薬として規制されていないため食品と同じに扱われ、街の食料品店やスーパーマーケットで手軽に求めることができます。大きなスーパーなどでは、ビタミン剤のオリジナルブランドを持っているところもあるほどです。
 そのせいか、アメリカでは成人の半数以上が毎日、しかも何種類ものビタミン剤を摂っているといわれています。アメリカ人の感覚としては、ビタミン剤は肉や果物などの食べ物とまったく同じなのです。
 その点、日本人はビタミン剤をまだ薬の一種だと思っている人もいますが、最近ではいろいろなビタミン剤が出回ってきたことから、意識の面ではアメリカ人に近づきつつあるようです。
 ビタミン剤を食べ物と同じような感覚で摂るということは、ビタミンはいくらたくさん摂っても、必要以外の分は尿として体外に排出されてしまうという知識が、多くの人に浸透しているからでしょう。
 たしかにビタミンB群やCなど、ほとんどのビタミンは水溶性ですから一度にどんなに多く摂っても、使われない分は排出されます。しかし、
ビタミンAやDの脂溶性ビタミンは、余った分はどんどん体内に蓄えられてしまい、摂りすぎると病気になることもあります。健康のために飲んでいるのに病気になったのでは、たまったものではありません。
 ビタミンAは、摂りすぎると肝臓や脾臓を肥大させるし、また肌が黄色くなったり、むくみや関節痛の原因ともなる。ビタミンDの摂りすぎは、血液中のカルシウムが過剰になり、胃腸などの不調を招き、異常な口の渇きや吐き気、下痢などの症状があらわれます。また、成人病の元凶である動脈硬化を引き起こすこともあります。さらに、どんなに摂っても害がないといわれているビタミンCも、排出される際、尿の中で尿酸といっしょになって尿酸カルシウムになり、尿道結石の原因になることもあります。
 
ビタミンというのは、不足しないように摂るには食事だけで十分で、それも生野菜よりは大根を煮たものや、ゆでたホウレン草のほうが、ビタミンはたくさん摂れます。
 ただし、病気の予防や治療に利用するとなると、まとまった量を摂らなければならないので、ビタミン剤をとるのはしかたがありません。しかし、普通の人が体にいいからとむやみに摂りすぎるのは避けたいものです。