体のことを考えすぎるあなたへ
日常生活での賢い健康法
P体のことを気にするあまり「健康強迫症」になったらどうするか
 最近の健康ブームの影響か、誰しもが生半可な医学知識をもっています。しかし、その知識が災いして病気をつくりだしているのではないかと思われることがあります。
 病気になりたくないという気持ちは誰にでもあります。だが、その気持ちが高じて、自分の健康状態の過敏になるあまり、少しでも体の調子がおかしくなると、それを大げさに考えてしまう人もいます。つまり”健康強迫症”にかかってしまうのです。
 
ちょっとした腹痛、かすかな胃の痛み、疲れたときの背中や腰の痛みなどというものは、多かれ少なかれ、たいていの人が経験しているものではないでしょうか。この程度なら、少し食事に気をつけたり、早めに休むことですぐに治るものです。 
 自分の健康を気遣うことは悪いことではありませんが、ものには程度というものがあります。そうした心配性の人は、ちょっとした胃の痛みを訴えて病院へ行きます。すぐに治る程度の潰瘍であっても治療に当たる医師は、とりあえず酒、タバコ、コーヒーのことからストレスの話をして、一般的な注意をします。
 しかし、心配性の人だと、その注意がかえってよくないこともあります。やたら悪い方へ悪い方へ解釈し、いわゆる家庭医学書の類を読みあさったりするものです。
 この種の本には、たとえば、「こんな症状の場合は○○炎を疑ってみる」などと書いてあります。すると、心配性の人は「胃に小さな潰瘍ということだが、もしかすると膵臓も悪いのではないだろうか」とか、「最近、何となく体がだるく疲れやすいから、肝臓も悪いんじゃないか」などと考え込んでしまうのです。そして、次の診察日まで待てずに病院へ行って、「ほんとうに小さな潰瘍だけなんでしょうか」と念を押さないと納得しない人もいます。
 
人間の体というのは、心配しすぎると痛みに対する感受性が強くなり、実際に痛いのは胃だけなのに背中や腰まで痛くなることがあります。こうなると、だんだん不安が広がってきて自分であちこちの臓器を病気にしてしまう。つまり、必要以上の心配は相当のストレスとなるため、睡眠不足や食欲不振に陥ったりして、本当の病気になってしまうこともあります。
 胃潰瘍という病気はその典型で、クヨクヨと考え込むことは悪い結果しかもたらさない。ともかく生半可な知識に頼らずに、
医師を信頼し、「軽いうちに見つかって良かった。これからは、酒を少しひかえめにするか」くらいに楽観的に考えたほうが、体にとって良いことは言うまでもありません。

Q夏バテが高じて暑気当たりになった人は、とにかく汗をかけ
 日本の梅雨から夏にかけてのムシ暑さは世界でも有数で、なんとも不快なものです。暑いから、どうしても冷たい飲み物をたくさん摂る。すると、食欲不振になり、体に必要な栄養が不足するし、寝苦しさからくる睡眠不足で夏バテにかかる人が多い。そして、暑気当たりがいやだからといって1日中クーラーの効いた部屋にいたり、クーラーをつけっぱなしで寝てしまったりすると、逆に暑気当たりと同じ状態になることがあります。頭痛がしたり、風邪をひいたように体が熱っぽくなり、それが、ひどくなると吐き気や下痢を引き起こします。
 人間の体は水分をとると、汗をかいて新陳代謝をはかっています。それができないと老廃物が体内に残り、中毒症状を起こすのです。また、日本人の皮膚はメラニン色素が多く、熱を吸収しやすくなっています。その熱を発散させるためにも新陳代謝が必要で、汗をかかないと熱が体の中にとどまってしまい、「うつ熱」という症状になってしまいます。
 したがって、
暑くて水分を多くとるときは、どんどん汗をかかないといけないのです。それには積極的に外へ出てしっかり汗をかくことです。たまにはアツアツのラーメンでも食べて、びっしょり汗をかくのもいいでしょう。

R休日にゴロ寝ばかりしている人は、30分間の掃除を試みる

 
1週間の仕事の疲れを癒すために、休日はゴロ寝で過ごすというサラリーマンが多くいます。最近の世論調査をみても、休日の過ごし方としてはゴロ寝がトップを占めています。
 ゴロ寝というのは、一番自由で楽なスタイルで、「今日は何もしなくてもいい」という開放感もあいまって、これほどストレス解消にとっていいものはありません。世の女房族から”粗大ゴミ”といわれようが、そんなことは気にせずにゴロゴロしてもらいたい。
 とはいっても、ストレス解消にはいいけれど、ほどほどにしておかないと体のほうがなまってしまいます。肉体的な緊張をとりすぎてしまうと、かえって疲れることがあるから、少しは体を動かしてもらいたい。
 ゴルフクラブを軽く振ってみるとか、クルマの掃除、子どもとのキャッチボール、さらには盆栽いじりでもかまいません。子どももいない、クルマもないといった人は、思い切って30分くらい部屋の掃除でもしてみてはどうでしょうか。
 
ゴロ寝でストレスを解消し、掃除などで軽く体を動かしておけば、心身ともにリフレッシュでき、翌日から仕事にも意欲がわくというものです。