体のことを考えすぎるあなたへ
日常生活での賢い健康法
Sクーラーをつけっぱなしで寝てしまったら、翌朝、熱めの風呂に入る
 プロ野球の大投手金田正一氏の元婦人である榎本美佐江さんは、澤地久枝さんの人物ルポ「あなたに似た人」の中で、現役時代の金田投手が真夏のどんなに暑い夜でもクーラーなどはつけず、蒸し風呂のような部屋で、利き腕の左腕を毛布でくるみ、布団をかけて寝たというプロの凄まじさを語っていました。
 
この話を読んで、いくら体が資本の野球選手とはいえ、さすが400勝もした投手だけのことはあると感心したものです。われわれは、ちょっと暑いとクーラーの心地よさに負けて、気がつくとひと晩中つけっぱなしで寝てしまったということがよくあります。こんな日の朝は体がだるかったり、頭痛がしたり、ひどいときには下痢をすることもあります。これでは、その日の仕事にもさしつかえるというものです。
 クーラーをつけたまま寝ると、なぜ体に良くないのかというと、体が冷えて体温調節のための汗が出なくなるからです。人間に体は一定の体温(たとえば36度)という条件のもとで、機能的に働くようにできています。体温が上がれば汗が出て、その蒸発熱によって体温を下げる。体温が下がると、毛穴が閉じられ、”鳥肌が立つ”といわれる状態になります。なるべく体温が奪われないように体じゅうの表面積を小さくする働きをするのです。
 寒いときは服を着て保温するが、寝ているときはそれができません。当然、体温は下がり新陳代謝も弱くなり、血行も悪くなる。そして、汗もかかないから、水分の放出のバランスが崩れてしまいます。
 
こんな状態のときは、とりあえず強制的に水分を放出して体のバランスを取り戻す必要があります。それには朝風呂が実に効果的です。熱めのお湯にしばらく浸かっていれば、血行が良くなり汗もどっと出てきます。それだけで、かなり体のバランスを回復することができるのです。もちろん、汗をかく状態にすればいいわけですから、風呂以外の方法、たとえばジョギングやサウナでもかまいません。

21.長風呂の好きな人は、一番風呂よりも、しまい湯に入るのが良い
 人間は血管とともに年をとるといわれています。動脈硬化が進むと血行が悪くなり、体温の組織の働きも鈍くなります。それを防ぐためには血液の循環を良くしなければなりません。その血行を良くするのにうってつけで最も身近な方法が入浴です。
 ただし風呂が好きで、ついつい長湯をしがちだという人は、少し気をつけなければなりません。まず、入浴は思っている以上に体力を消耗するということです。30分の入浴は30分のジョギングと同じぐらいのエネルギーを消耗するということです。またお年よりは一番風呂には入らないほうが良い。まず、湯加減をみている間に、体が冷えてしまいます。また、湯が新しいので体内のカリウムやナトリウム、脂肪などが皮膚をとおり体外に排出されてしまうので、疲労感をもたらすからです。
 むしろ
お年よりには、しまい湯のほうが良い。浴室も暖まっているので、裸になったときに体温との温度差もあまりないので、皮膚に対する刺激も心臓への負担もすくなくてすみます。そして、お湯の中には先に入った人の脂肪分が溶け込んでいるため、体との親和性があり、ほどよく温まることができるのです。

22.テレビゲームは”若ボケ”を予防する効果がある

 
最近は子どもたちだけでなく、サラリーマンの中にもテレビゲームにこっている人が多いそうです。聞けば、仕事のストレスを晴らすためにテレビゲームがうってつけだというのですが、それに伴う”副作用”を心配する人も少なくないようです。
 目が疲れるとか肩がこるとかいうのがそれですが、そうした心配は無用です。というより、度を越さなければどんどんやったほうが”若ボケ”防止に効果があるからです。
”若ボケ”とは老人ボケより若い人、つまり40〜50代の熟年といわれる人たちがかかるボケです。症状は老人ボケと同じで、物忘れをしたり、言葉が不明瞭になったりします。原因ははっきりしているわけではありませんが、ストレスが一役買っていることだけはたしかです。
 その点、
テレビゲームに熱中するのは、ストレス解消という意味で大いにお勧めできます。また、瞬間的な反射神経が要求されるために、人間の思考、行動をつかさどる大脳皮質への刺激となります。しかも指先を使うので、これまた大脳皮質を刺激することになるからです。熟年サラリーマンともなれば、テレビゲームに熱中するお子さんの一人や二人はいるはずです。休日を利用して、ちょっとやってみるのもいいでしょう。