禁酒しようか迷っているあなたへ
お酒と上手につきあう方法
B酒のツマミには消化のいいものを選べ
 ものを食べながら飲むと、アルコールによって促進される胃液分泌がかなり中和できます。胃液は分泌してもそれを使う相手(食べ物)がいなければ、胃壁を直接刺激し、さらにそのまま十二指腸まで下がっていって、やはり同じように十二指腸の壁を刺激する。しかし、食べ物が胃に入っていれば、胃液の過剰な分泌による潰瘍形成も抑えることができる。
 また、食べ物に含まれている栄養素が血中から肝臓へと送られていくわけだから、アルコールの処理にフル活動している肝臓にエネルギーが補充され、スムーズな活動ができるということもあります。
 といってもツマミなら何でもいいということではない。医学的にみるかぎり、
酒のツマミはできるだけ消化のいいものを、というのが”基礎メニュー”でしょう。酒(アルコール)が体内にはいると、小腸の粘膜の機能がパワーダウンする。そこへさらにアルコールやツマミが入ってくると、小腸の動きが早くなり、十分な栄養の吸収がなされないまま食べ物を大腸へ送り込んでしまいます。そして、大腸には栄養分を吸収する能力がないから、吸収するのは水分ばかりということになります。結局、大酒を飲んだ翌日の便の中には、まだ栄養分がいっぱい残っており、汚い話ですが、非常にもったいないです。
 これでは、アルコール処理で消耗しパワーダウンした肝臓に栄養素が送られなくなってしまいます。
 アルコールのために吸収能力がダウンしている小腸でも吸収できるというのは、消化のいいものです。胃でよくこなれたものが小腸に送り込まれてくれば、小腸はそれほどの力を要さずにすむわけです。
 だから、よくツマミとして食べる
カマボコ(板ワサ)やアタリメ(スルメを焼いたもの)、さらにイカやタコといったものはあまりよくない。また魚なども刺身より焼き魚、焼き魚より煮魚のほうがベターです。ポタージュのスープ、あるいは湯豆腐、枝豆なども消化、吸収はいいからツマミとしては最適でしょう。
 ただし、酒といっしょに消化の良くないものを食べるというのも、少しは良い面があります。それは肥満防止には役立つということです。消化、吸収が悪いのだから、それだけカロリーの摂取量も低くなるわけです。
 消化、吸収のいいものばかりを食べていると、全部が有効なカロリーとなるから、肥満は避けられません。自分の肥満度と相談しながらツマミを選ぶといいでしょう。

C付き合い酒の悪酔いも、これなら防げる
 
自分ひとり、あるいは友人どうしで酒を飲むときはどうということはないのですが、接待の席で酒を飲むとどうも悪酔いして困るという悩みをもっている人も少なくないでしょう。接待という場が、日本のビジネス社会の中で、比較的重要な位置にあることを考えると、この悩みを個人的なものだとかたづけてしまうわけにはいきません。
 接待をするときは、相手にいろいろと気を使いながら飲まなくてはならないので、酒を飲むという表向きの行為は同じでも、
リラックスとは正反対の、ストレスを受けながらの酒となってしまいます。
 ふつう酒を飲んだ場合、最初のうちは血管が拡張し、体が熱くなる。そして、飲み進むにつれて、しだいに血管が収縮を始め細くなっていくのですが、何らかの理由で緊張しているときは、最初の一、二杯でも血管がまったく拡張しないのです。これは、体が無意識のうちに酔うことを拒否しているからです。

 
ところが、酔いを無理におさえながら飲んでいると血管の疲労が激しくなり突然酔いが襲ってきます。
 この悪酔いを防止するには、リラックスして飲むしかありませんが、接待となるとそうもいってはいられません。そうなると、酒量をおさえるよりほかにありまきせん。それには、なるべく自分の嫌いな酒を飲むようにするといいでしょう。
 また、逆に接待される側にまわったときの注意としては、日本酒だけは避けることです。
 日本酒というのは、盃を交わしながら飲む酒で、「さあ、グッと一気にあけてください」などと無理じいしたり、されたりということが少なくありません。"かけつけ三杯”などという言葉さえあるように、酒を相手に飲ませるのが、日本酒を飲み交わすときのマナーのようになっています。悪酔いの許されない接待の席では日本酒は避けるべし、といった理由がおわかりいただけるでしょう。