禁酒しようか迷っているあなたへ
お酒と上手につきあう方法
D飲み方をちょっと変えるだけで深酒しなくなる
 医学的に見た場合、アルコールというのは何をどう飲もうが、体に与える影響という点においては基本的にかわらない。アルコール濃度や飲むペースによって、酔い方のちがいが多少はあるかもしれないが、
体内に入ればアルコールはアルコールです
 したがって、日本酒だから悪酔いする、ウィスキーは二日酔いしない、などということはありえません。
酔う酔わないは、酒の種類ではなく量の問題なのです。だから、酒を飲む機会の多い人は、酒とうまく付き合う方法、つまり
いかに酒量をおさえるかということを考えるべきでしょう。
 そこで酒量を減らすコツとして、まずあげたいのは、
いつもとパターンを変えて飲んでみることです。ウィスキーは、いつもストレートで飲んでいる人なら、ソーダ割り(ハイボール)にして飲むようにしてみる。ソーダ割りなら、すぐにお腹がはってしまうから、そうガブガブ何杯も飲めなくなります。
 また、ウィスキーのお湯割りや燗をつけた日本酒は、水割りや冷やで飲むより胃へのあたりがよく、早く酔える。早く酔うから当然、酒の量は減ってきます。
ふだんよりも少ない量で、同じように酔えるのですから、体にとっては良いことは言うまでもありません。

E酒に飲まれない為の自己暗示法
 
酒を飲むと悪酔いしたり、すぐに酔いつぶれてしまう人がいます。肝臓も筋肉と同じで使わなければ鍛えられない。すぐに酔いつぶれるような人は、いままでにあまり酒を飲んでいなかったため、肝臓がアルコールに対応できるようになっていないだけなのです。

 
つまり、毎日酒を飲んでいれば肝臓も大きくなり、酒にも強くなるのですが、たとえ強くなったとしても、こんどは肝臓に負担がかかりすぎて障害が出てしまいます。
 そこで、お勧めしたいのが1種の自己暗示です。飲む前に「オレは悪酔いしない」と、自分で自分に言い聞かせるのです。そんな子供だましのような方法が通じるのか、という人もいるかもしれませんが、酒に酔うかどうかは、精神的な面がきわめて大きく左右しているのです。「悪酔いしない」と自己暗示をかけることで、悪酔いしそうな飲み方、たとえば空腹で飲むとか、早いピッチで飲むといったことを意識的にさけるからです。つまり、理性がアルコールに負けずに酒量をコントロールできるかどうかなのです。ただし、ひと口飲んだとたんに理性がどこかへいってしまう人には、この方法も効果がないことを付け加えておきましょう。


F「”暗い酒ほど肝臓に悪い」のはなぜか
 
酒の飲みすぎが肝臓に悪いというのは、誰でも知っています。しかし、不思議なのは、かたや飲みすぎで肝硬変にかかる人がいるのに、いくら飲んでもピンピンしている人がいるということです。たしかに、生まれつき酒に強い人、弱い人の差はあるものですが、それと肝臓の強弱とはさほど関係はありません。問題は、酒の飲み方にあるのです。
 たとえば、こんなデータがあります。それは、
肝硬変にかかった患者さんの酒の飲み方は、おうおうにして”暗い酒”が多いということです。ヤケ酒、上司にしんねりむっつりと責められながら飲む酒、半分ケンカしながら飲む酒など、”暗い酒”というのは、人間の体にけっしていい影響を与えない。逆に、”明るい酒”というのは、かなりの深酒をしても二日酔いや悪酔いをせずにすむし、長い目でみても、体に悪影響を与えることが少ない。
 酒を飲むと胃液の分泌がさかんになり、潰瘍をつくりやすくなるのですが、その上に
”暗い話題”や”不愉快な状況”を付け加えれば、ストレスが高じるため、ますます胃液の分泌が増え、潰瘍の形成に拍車をかけることになる。だから、酒を飲む席にストレスを増すような因子はできるだけ排除した方が良いと言うことになります。

 
”明るい酒”がいいのは、アルコールによる有害物を早く体外に排出することができるからです。楽しい話題を選んで、ワーッと騒ぎながら飲む。あるいは、カラオケバーにくり込んで、全員で歌いまくる。こういう飲み方をすると、体内の血流が早くなるから、老廃物をいち早く体外に排出することができるのです。二日酔いや悪酔いの原因は、この老廃物が、一晩眠ったあとでもまだ体内に残っているためで、老廃物さえ早く出しておけば確実に防げるというわけです。
 ふだんの経験からしても、こうした理屈はおわかりいただけるでしょう。仕事の話などいっさい抜きという仲間内だけの酒はおおかた愉快で楽しく、翌日にあとを引いたりしません。これに対して、接待の酒や上司と仕事の話をしながらの酒は、さして量はいってなくても、必ずあとに響くものです。泣き上戸などが一人メンバーに入ったときの酒などは最悪といえるでしょう。
 とにかく、酒を飲むときまで、あれこれ気をつかったり、心配ごとや悩みを抱えていると胃や十二指腸、肝臓をいためるばかりです。そうしたことを防ぐためにも、酒を飲むときは、あなたがリードをとって、できるだけ楽しい雰囲気にもっていくよう努力すると良いでしょう。たとえ仕事がらみの酒であっても、仕事の話はできるだけ早いうちにすませ、あとは、女性の話やゴルフの話などをどんどん持ち出すようにするといい。