禁酒しようか迷っているあなたへ
お酒と上手につきあう方法
I飲みすぎた翌朝には果物を食べておくと良い
 
外国の諺に”朝の果物は金”というのがあります。これは、朝食のときに果物を食べると体に良いということを意味しているのですが、事実、ホテルなどで出される朝食には、必ず果物もしくはジュースがついてきます。日本の朝食にはけっして見られないパターンです。
 なぜ、こうした差があるのかというと、外国の場合、夕食のときワインを飲んだり、食後酒にブランデーやウイスキーを飲んだりと、酒と夕食が親密に結びついているからです。つまり、夕
食のときに摂った酒の悪影響を、果物によって肝臓を活性化させることで少なくしようというのです。
 外国では、昔からアルコールそのものが体に良くないという説がありました。より正確にいえば、アルコールは肝臓にとっては有害な成分だということです。これに対して、日本では、アルコールそのものが悪いのではなく、それに付随するもろもろの条件が悪いという考え方です。
 たとえば酒を飲んだとき十分に食事をとらないこと、ことにタンパク質を摂ることが少ないからいけないという説(栄養障害説)。
 また、アルコール摂取に伴う食事の嗜好変化、つまり脂肪を好む食事内容に変化してくるのがいけないという説(カロリーのアンバランス説)などがあります。これは、アルコールが1グラム当たり7カロリーと高カロリーのうえ、アミノ酸やビタミンの消費量が多く、そのいためコリンが欠乏状態をきたし、肝臓に障害を起こすという考え方です。
 したがって、それさえ改めれば”酒は百薬の長”になるという見方が強かったのです。生活の中で肝臓を守るという発想が生まれないのは、当然の結果ともいえよう。
 しかし、
外国ではアルコールそのものが毒だという共通の認識があったから、たとえば朝食で果物を摂るというのは、いわば、”生活の知恵”として人々に定着していたのです。果物の糖分は、肝臓でできたアセトアルデヒドという悪酔いのもとを分解するし、柿などに含まれているタンニンやペクチンが血中のアルコール濃度を抑える働きをもっています。さらに、果物のビタミン類は消耗した肝臓の栄養補給になるというわけです。また、前夜の酒で疲れきった胃にとって、果物の酸味は食欲をうながす効果と共に、大切な栄養を摂るための空腹感を呼び起こしてくれるからです。
 夜、酒を飲んで弱まった肝臓を、朝、果物を摂ることで強化し、また夜、酒を飲む。こういうパターンを生活の中に定着させ、それを実行し、
少しでも長く人生を楽しもうという、この考え方を、私たち日本人も学ばない手はないと思うのですが、なお、果物を同じように、牛乳も肝臓にとっては大変好ましいものの一つです。

J朝風呂は二日酔いに本当に良いのか
 
本来、酒を飲んだ夜は、いつもより二割ほどプラスした睡眠時間をとってほしいところです。というのも、肝臓の単位時間当たりのアルコール処理能力は決まっていて、人間のように”残業”とか”休日出勤”のようなことはできないのです。
 つまり、肝臓が血管から流れてくるアルコールをすべて処理し終わり、元の状態に戻るためには、それなりの時間がかかるということです。それには、睡眠によって体を休めるしか方法がありません。
 しかし、酒を飲んだときほど、睡眠時間は減りがちです。そのため、一晩中働いても処理しきれないアルコールが残っていて、二日酔いという症状をきたすということです。
 そこで、
酒を飲んだ日の翌朝は、いつもより早く起きて風呂に入ることをお勧めします。よく外国のハードボイルド小説などでは、主人公が二日酔いの朝、シャワーを浴びるシーンが登場します。体を温めてやることで、アセトアルデヒドという二日酔いの元凶である有害物質を排出するわけですから、二日酔い対策には非常に効果的です。いかにも毎朝シャワーを浴びる習慣のある欧米人ならではの生活の知恵といえますが、これに習って、朝風呂を楽しむのもいいでしょう。
 そして朝風呂を浴びたあとは、なるべく栄養分のある朝食をとり、30分ほど横になってから会社にいくと良い。肝臓のアルコール解毒作業の能率を高めるためには、血液の循環を良くしてやることが効果的なわけですが、体を横にすると余分なところへ血液が流れず、多くの血液が肝臓に入るので、肝臓のアルコール解毒が促進されるのです。
 また横になっていることで、朝食で摂った栄養分がスムーズに肝臓に送られるため、肝臓の活動がより活発になるという点も見逃せません。
 こうして会社に出かけたら、
昼休みなども、食事のあとソファなどにリラックスした姿勢で腰をかけ、目をつぶっているようにすると良い。体を休めながら、昼食で摂った栄養分がすべて肝臓にいくようにするわけです
 飲んだ日の翌日、昼休みにキャッチボールをしたり、ジョギングしたりする人もいるようですが、これは止めた方が賢明でしょう。なぜなら、せっかく食事でとった栄養が、そうした運動によって消費されてしまうからです。