禁酒しようか迷っているあなたへ
お酒と上手につきあう方法
K二日酔いに迎え酒が効果的なこともある
 
日本人は欧米人に比べて酒に弱いと言われていますが、事実そのとおりです。その第一の理由は体格の違いです。アルコールの処理能力は体重に比例するから、容器が大きければ、大きいほど酒は強いということになります。
 第二は飲酒習慣の違いです。欧米人は昼間からワインやビールを飲みながら食事をします。またパーティなどが多く、酔って不始末をしでかすことがタブーとされているため、学習的にも経験的にもアルコールに対する耐久力が強くなっています。そして、もっとも大きな理由は、二日酔いや悪酔いの元凶ともいえるアセトアルデヒトを、いち早く分解するT型という名の酵素が体内にどれくらいあるかです。これは酒の強さを決定ずける因子の一つで、日本人のほとんどはこのT型を持っていません。
 こうしたことから、日本人は飲みすぎると、どうしても二日酔いになりやすい。もちろん、欧米人であろうと度を越した酒を飲めば当然、二日酔いにはなりますが。回復力の点で大きな差があります。
 酒を飲むのはいいが、二日酔いによる頭痛や不快感はどうにかならないものかと、昔から呑んべえたちはない知恵を絞ってきました。やれ、梅干しにお茶だの、レモン水を大量に飲むだの、牛乳はいいだの、というのがそれです。これらに共通しているのは水分の補給という点で、これは尿の量を増やして老廃物を対外に排出するというメリットがあります。
 そのきわめつけが、「二日酔いには迎え酒」という俗説です。ちょうど塩抜きをするのに塩水を使うように、”毒を持って毒を制す”ということらしいが、医学的に根拠があるかどうかと言えば、実はまったくの逆効果で、酒好きだけに通用している俗説にすぎません。
 というのも、
ただでさえ前夜のアルコールの処理に追われているか、あるいは疲れて休みたがっている肝臓に、さらにアルコールを入れるのは、追い討ちをかけるようなもので、負担を大きくするだけなのです。
 ただ、しいてとりえがあるとすれば、迎え酒をすることで、ふたたび脳の中枢神経が麻痺して気分をよくする麻酔作用が働き、とりあえず二日酔いの不快さがなくなることと、眠たくなる点です。少量の迎え酒で眠ってしまえば、多少は肝臓も休むことができます。
 しかし、
迎え酒で二日酔いを麻痺させても、それは二日酔いを先に延ばすだけで、昼ごろまでにおさまるはずだったのが、夕方まで続くというだけです。が、時間がたつぶんだけ二日酔いの程度も軽くはなります。したがって、その日が日曜日で一日中ゴロ寝をしていられるという人なら、迎え酒の効用はあるかもしれません。


L二日酔いの日の即席元気回復法とは
 
人間の体は、一定量以上のアルコールを飲むと、どんな場合でも二日酔いするようにできているので、二日酔いしないというような手だてはないのです。
 しかし、
二日酔いから早く立ち直るための工夫はあります。たとえば、サウナ風呂に入るというのもその一つです。なぜサウナが二日酔いに良いかというと、血行をよくするからです。よく、汗と一緒にアルコールを絞り出すという人がいるが、アルコールの90パーセント以上は肝臓で分解されるので、汗からアルコールがどんどん抜けていくようなことはありません。
 ただ、
サウナに入ると新陳代謝が盛んになり、尿の出も良くなることから、二日酔いの原因であるアセトアルデヒドという有害成分を早く体外に」排出するという効果があります。つまり、排出するのに普通は半日かかるところを1〜2時間でやってしまうわけです。サウナに入る前に、水やお茶を飲んでいれば、その効果はさらに上がるでしょう。
 しかし、いつも以上に深酒したあとは、まだ体に残っているアルコールやアセトアルデヒドが心臓を刺激する上、もともとアルコールが末梢血管を拡張させているところへ、サウナの熱でよけいに血管が膨張することになってしまいます。
 このシワ寄せは、当然、心臓に集中してきます。サウナが効果があるといっても、二日酔いの程度によるわけで、心臓の悪い人や中高年の人は十分注意すべきです。