禁酒しようか迷っているあなたへ
お酒と上手につきあう方法
P糖尿病でも日本酒は大丈夫
 
同じ酒でも、日本酒は糖尿病の大敵と思っている人がいます。日本酒には糖質が多く含まれていますから、そう思われているのでしょうが、そんなのことはありません。糖尿病の治療で問題なのは、糖質よりも一日の総摂取カロリーなのです
 たとえば、ある糖尿病の人の一日の総摂取カロリーを1600カロリーとしましょう。そうすると、1600カロリーの中でおのずと糖質の量は決まってきます。そして、その範囲の中であれば、日本酒であろうとウイスキーであろうと、何を飲んでもかまわないのです。
 そうすると、茶碗に3分の2杯のご飯とコップ2杯のビールとは、カロリー的にも糖質的にもまったく同じなのですから、ご飯を食べなければビールを飲めるということになります。つまり、総摂取カロリーの中で等価交換するわけです。
 しかし、それ以上飲みたければ、今度はおかずを減らすことになり、体に必要なタンパク質や脂肪分が摂れなくなります。アルコールはエネルギーは高くても栄養素は少ないから、おかずを減らしてまで飲むことは、糖尿病の治療にそぐわないことになります。要は、酒が飲めるだけでもありがたいと思って、その量は医師の指示にきちんと従うことです。

Q飲んで仕事をした場合のいい部分、悪い部
 残業などで、たまに仕事にさしつかえない程度に酒を飲むと、思いがけなく仕事がスムーズに進んだり、いいアイデアが浮かんだりすることがあります。というのは、適度のアルコールがストレスや緊張感をほぐしてくれるからです。しかし、これはあくまでも量の問題で、多くのアルコールが脳にまわれば脳細胞の活力は落ちてくるのだから、その働きも鈍くなるのはいうまでもありません。
 どういう状況でもフルに仕事ができる人はいいが、中には緊張感が高まるとかえって思考が散漫になってドジを踏むという人もいます。時と場合によりますが、そういう人にとって
少量の酒が、精神の安定をはかり集中力をつける”百薬の長”となることもあります
 サラリーマンも、偉い人の前に出たり緊張したりすると、なにも言えなくなる気が弱い人がいます。それが、少しアルコールが入ることで、いつも通りに話ができるようになれば、難しい交渉事もうまくいくに違いありません。が、酒の臭いをプンプンさせるようではまずいので、その点の配慮だけは忘れないようにしたい。
 酒を飲むと記憶力が落ち、仕事にはマイナスになるだけという人もいます。事実、酒を飲んでいるときは物忘れをします。ふだんならパッと出てくるのが、出てこないことがありますが、これは記憶していたことがなくなるのではありません。アルコールの作用で、思い出すのに手間がかかるだけなのです。宴会などで、盛り上がってくると、次から次えとナツメロが飛び出すのをみれば、いったん記憶されたものについての再生、保持にアルコールがそう影響することはないことがわかるでしょう。
 ただし、脳細胞にまわるアルコールが一定量以上を超えた場合、記憶力が要求されるような作業については、まったくと言っていいほど能率はあがりません。いくら本に目を落としていたとしても、内容はほとんど脳にはインプットされないのです。
試験勉強などのときは、アルコールはマイナスになるだけで何の効果もないことはもちろんです。

Rビールのせいで太るというのは大ウソだ
 俗に”ビール腹”という言葉がありますが、あれはビール飲んだために肥満した腹ではなく、ビヤ樽のように膨らんだ腹のことを言っているのです。ただ、ビールの成分であるホップには、確かに食欲を増進させる働きがあります。そのため、ビールを飲むと太るように錯覚するのでしょう。
 ビール大ビン1本で250カロリーは、たしかに少ない数字ではありません。しかし、アルコールのカロリーは炭水化物のカロリーと違って、体内に脂肪として蓄積されることはなく、ほとんど体内で燃焼されてしまうので肥満につながることはありません。また、ビールは他の酒と比べ、そんなに量は飲めないから、この点からも太るということはありえません。それでも太ったという人は、ビ−ルのせいではなくツマミを摂りすぎてカロリーオーバーになったからです。
 
いくら太らないからといっても、ものには限度というものがあります。毎日10本も20本も飲んだら体をこわしてしまうのは目にみえています。健康のためにビールを飲むのであれば、夕食時に、酒の強い人なら大ビン1本、普通の人なら中ビン1本ぐらいが適量でしょう。