禁酒しようか迷っているあなたへ
お酒と上手につきあう方法
S寝酒をやらなければ眠れない人のための健康法
 
人間の脳細胞というのは、1日のうちにじつにさまざまな刺激を受けている。いつもの倍以上、頭脳労働をしたとか、ちょっとしたトラブルがあった日は、眠る頃になっても妙に頭がさえて眠れないということがある。それは、脳細胞に対する刺激がふだんの日よりも強かったため、脳細胞が活性化し神経が高ぶっているためです。
 そんなときに、ほんの1,2杯の酒を飲むと、スッと眠りに入っていくことができます。つまり、
アルコールの働きで血行がよくなり、体を温めてくれると同時に、興奮している神経をやわらげてくれるわけです。
 酒の種類としては寝酒にビールやウイスキーの水割りは、あまりおすすめできない。というのは、そうした酒は水分は多いため、夜中にトイレに行きたくなり、睡眠をさまたげるからです。飲むなら体が温まるようなウイスキーやブランデーのお湯割りがいい。ウイスキーやブランデーといったアルコール濃度の高い酒は、体の細胞から水分をとりだすので、喉が渇くことがあります。が、トイレに行きたくなって目をさます確立に比べたら、はるかに低い。
 寝つきの悪い人にとって、寝酒は格好の”睡眠薬”なのですが、問題があるとすれば習慣性がつくということでしょう。頭も体も疲れていて飲まなくても眠れる日はあるはずなのに、クセになっていてつい飲んでしまう。そうなると、酒を飲んでアルコールが脳にまわらないと、睡眠の信号が青に変わらないようになってしまうのです。
 寝酒というものは、あくまでも自己睡眠のためだから、皆と一緒に飲むときとちがって、おのずと量は限られてきます。少しポーとして気持ちよくなったかなという程度でいいのです。そういう意味では体に悪いということはありません。しかし毎日となると、だんだん一杯では眠られなくなり、二杯、三杯と量が増えていく人もいます。その結果、アルコール依存症への道をたどることにもなってしまいます。
 したがって、
寝酒がクセで量も増えがちな人は、眠れないからといってすぐに酒を飲むのではなく、そのまま眠くなるまで起きていることです。人間の欲望の中で睡眠欲ほど強いのもはありません。少しくらい食べなくても、なんとか我慢できますが、何日も眠れないことほど体にとってきついことはありません。
 人間の体は頭も肉体も疲れたら、自然に眠れるようになっています。眠れないというのは、まだそれほど疲れていないということです。だから、
たまには激しい肉体労働をするとか、頭が疲れ果てるほど本を読むといったことをして、寝酒がなくても眠れるようにすることだ。それで眠れるようになれば、毎日、寝酒に頼るということはなくなってくるはずです。

21.大酒のみが突然、禁酒をするとガンになることがある
 皆さんもご存知のことと思いますが、かつてシカゴのギャング、アル・カポネが活躍した当時のアメリカは悪名高き禁酒法の時代でした。そして、この法律が施工されている間のアメリカにおける肝硬変死は、その前後の時代と比べると、1/3以下だったというデータがあります。このことからも酒が肝臓に悪いことが納得していただけるでしょう。
 よく「大酒飲みの人は週に2日の休肝日をつくれ」などといわれています。もちろん、これが実行できれば肝臓障害を防ぐ効果はテキメンにちがいない。
 しかし、そうは言っても酒を飲むことはなかなか止められません。タバコと同じで、理屈ではわかっていても止められないというのが酒飲みの心理です。
 そこで、
どうしても酒が止められない人は、1ヶ月に1回肝臓の検査(肝機能検査)をすることをお勧めします
アルコールの肝臓に対する影響度というのは、肝機能検査を受ければ直ぐにわかる。毎月1回採取してガンマGTPの数字を出してもらうのです。このガンマGTPは肝臓内の酵素の一種で、肝臓が正常に働いているときは、アルコール吸収量に比例して反応するため、ガンマGTP値の大小で、肝臓のアルコール許容量もわかってくる。つまり、この値が高くなれば、ちょっと飲みすぎというわけで、自分が1ヶ月に飲んでいる酒量の一種の目安になるはずです。
 この
ガンマGTPは肝臓の”通知表”と思ってください。つまり、過去1ヶ月のアルコール摂取量の評価ですから、これが許容範囲内の数値でおさまるような飲み方をすれば酒の飲みすぎによる肝臓障害も避けることができるのです。
 肝臓の機能は、医学的にみてウイルスなど外的要因で病気にならないかぎり、年齢とともに低下するということはないから、この肝機能検査をうまく利用すれば、酒で健康を害するということはまずないはずです。
 ところで、アルコールが健康によくないと思い込んで、突然禁酒するという人がいます。新聞にも出ていたように、大酒飲みが突然禁酒すると、人によってはガンになりやすいというダータもあります。
 もし禁酒するなら、徐々に止めていくことをおすすめします。ビールなら大ビンを小ビンに、といった具合に、しだいに量を減らしていくのです。無理な禁酒は反動も大きく、禁酒によるストレスが突然爆発して、それ以前よりもたくさん飲むようになったなどということにもなります。
「徐々に徐々に」というのが禁酒の鉄則です

22.「休肝日」をつくれない人の、とっておきの方法とは
 お酒飲みの人たちは内心では、なんとか休肝日をつくりたいと思っています。たとえば、今日は休肝日にしようと決意して、仲間の誘いも断り、家に帰ったとする、ところが、食卓には酒の肴にあいそうな刺身などがのっていると、固い決意もあっけなく崩れることがあります。このように、酒飲みの意思ほど酒に弱いものはありません。
 聞くところによると、土、日の休みで、ご主人が家にいるときに酒を飲むと罰金をとるという家庭が多いそうです。家で飲んだら500円とか1000円の罰金を出させて、それがたまったら、奥さんや子供たちがおいしいものを食べにいくというのです。
 どうしても休肝日をつくれない人は、まず
日曜や祭日などの休日にアルコールを抜くことを心がけてください。酒が好きで、休みの日は朝から飲むという人もいますが、これが一番よくない。夜、酒を飲むのは酒を楽しんでいるからで、それはそれで良いのですが、朝から飲むようになると、これはもうアル中にほとんど近い状態と言えます。
 もし、アルコールの飲みすぎで病気になったとしても、夜だけ飲んでいる人はきちんと治るのですが、朝から飲んでいる人はなかなか治らない。
 ですから、休日には、絶対に朝から飲まないこと。そして、家族と一緒にご飯を食べることです。何か飲みたいならノンアルコールのビールにする。この3っつが守れたら、はじめの内は口さびしいかもしれないが、確実に休肝日がつくれるようになります。
 あとは食事の献立の問題です。初めにも話したように、刺身とか鍋物、芋の煮っ転がしなど、
いわゆる酒のツマミのようなおかずにしないことです。酒飲みのご主人をもつ奥さんは、この点に十分気をつかっていただきたい。たとえば、カレーやシチューといった汁の多いものは、酒の肴になりにくいから、休肝日のメニューにはうってつけです。それと、酒飲みはあまり米を食べないので、ご飯なしでは食べにくいウナギの蒲焼とか天丼にするのもいい。つまり、サラリーマンが昼に食べているものと同じようなものを作るのです。
 それに慣れてくれば、こんどは酒のツマミのようなおかずでも、
酒なしでご飯が食べられるようにトレーニングすることです。昼は酒なしで食事をしているのですから、必ずできるはずです。