つい吸いすぎてしまうあなたへ
愛煙家のための健康術
B歩きタバコをやめれば、ニコチンの吸収量は少なくなる
 
タバコ飲みというのは、つくづく思うのですが、じつにタバコに対してケチである。これは酒飲みが酒に対してケチなのと同じです。宴会が終わるというとき、まだグラスに半分以上も水割りが残っていたりすると、「もったいない」と思うのか、出がけにグイッと一気に飲みほしたりするのが酒飲みの”習性”です。タバコ飲みの場合も、ホームで電車を待っていて、タバコに火をつけたとたんに電車がはいってきたりしても、すぐ火を消したりしない。電車を一本遅らせてでも、タバコを吸ってしまうのです。
 そうした”吸いぎわ””飲みぎわ”の良し悪しはともかく、タバコはやはり灰皿のあるところだけで吸うようにしたいものです。
 これは何も、地面にタバコの吸殻を捨てるのは道徳に反するなどということを指摘したいわけではない
。道を歩きながらタバコを吸うのは、医学的にみても体に悪影響を与えるからです。
 歩いているときは、座っているときよりも肺の活動がはるかに活発です。歩くことも運動をしていることと同じですから、それは当然です。運動しているときの肺は、安静にしているときとちがって、末端の細胞まで活動しています。
 そういう状態のときにタバコの煙を吸い込むと、体の末端までニコチン、タールがまんべんなくいきわたるので、それだけ余分な酸素が要求され、肺の負担は増すというわけです。

 
朝の出勤のおり、自宅から駅までの間に一本吸ったり、街をあるいていてついタバコに手か゛いくという気持ちもわからないではありません。しかし、それがあなたの肺をより痛めつけているということを知れば、わりと簡単に我慢できるのではないでしょうか。
 吸いがらを捨てるところがない場所、灰皿の置いていない場所では吸わない。これだけは、愛煙家のマナーとしても守りましょう。タバコはゆつたりとくつろいだ姿で吸うのが、精神的にも肉体的にも一番いいのです。

 
Cタバコを吸ったら、痰はどんどん出した方がいい
 
外国人が日本人のマナーの悪さで、真っ先に指摘するのが痰やツバを吐くことです。以前に比べやや少なくなったものの、中年以上の男性で道路や駅のホームで痰を吐いている人を、よく見かけることがあります。はたからみていても、これほど見苦しい姿はありません。マナーからいっても、公衆衛生の面からいっても、痰はチリ紙かハンカチで取ってほしいものです。
 痰を吐く人には、ダバコを吸っている人が圧倒的に多いのです。あまり痰が出るので、ひょっとしたら肺か気管支の病気じゃないかと心配する人もいますが、ほとんどの場合は体が煙に対して敏感なだけで、それほど心配することもありません。そして、しょっちゅう痰を吐いている人は
、痰を出すことによって肺ガン等の病気を予防しているわけですから、、何本タバコを吸っても痰もださずに平気な顔をしている人よりは、体にとっては良いことなのです。
 だから、痰はどんどん吐いたほうがいい。なかには人前でみっともないとか、チリ紙をもっていなかったからと、痰を飲み込んでしまう人がいますが、それは医学的にみても決して良いことではありません。
 タバコの煙はタールとなって気道(肺に流入する空気の通路)にへばりついたり、ニコチンとなつて肺から血液の中に入っていきます。またニコチンは唾液に溶けて胃にも送られていくのです。そうしたタバコの害を少しでも減らそうと、気管支などにはタールを痰として外に出そうとしているのに、それを飲み込んでしまっては、胃にとってはダブルパンチを浴びる結果となってしまいます。
 痰がよく出る人で心がけてほしいのは、
タンパク源を欠かさず補給するこです。意外に思うかもしれませんが、痰を含めた分泌物の中にはタンパクがかなり含まれているからです。
 よく痰が出る人とまったく出ない人とで同じ食事をさせたところ、痰が出る人の血液中のタンパクが少なくなるとうデータもあります。短期間ではともかく、半年とか一年ではかなりの差となるので、
痰の出る人はタンパク源、なかでも豆腐などの豆製品をどんどん食べるようにした方が良いでしょう。