つい吸いすぎてしまうあなたへ
愛煙家のための健康術
Dノドの奥に残っているニコチン、タールを取り除く方法
 
タバコを吸ったときに体内に吸収されるニコチンやタールの量というのは、タバコに含まれている全体量の約30%ぐらいです。つまり残りの70%は、煙のままでそのまま体外へ排出されてしまいます。
 前にもお話ししたように、ニコチンは肺から血液に入るし、一部は唾液に溶けて胃に送られ、胃や小腸を経て血液に吸収されます。そしてタールは気道の周辺にへばりつきます。気道の周辺に付着したタールやニコチンは、痰となって出てくるし、ウガイによっても何とか排出させることができます。しかし、肺の奥についたものには、その効果も及びません。あとは肺のもつ自浄能力に頼るしかありません。
 そこで、
肺のもつ自浄能力を活発にするために、おすすめしたいのが深呼吸の実行です。肺は普通の日常生活を送っているときは、全能力(肺活量)の50%くらいしか活動していません。だから、肺細胞も末端あたりになると、ふだんはほとんど活動していないというのが実態なのです。
 ところが深呼吸をすると、ふだん活動していない末端の細胞まで働かざるを得なくなってきます。当然、心臓もそれにあわせて血液をどっと送り込むため、細胞の活動はますます高まります。そして、へばり付いていたニコチンやタールを体外に送り出す動きも活発化するというわけです。
 これは、たとえてみると自動車のエンジンと同じです。つまり、いつも低速でしか走っていないクルマが、急に高速道路で100キロ〜120キロという速度を出すことはできません。出たとしても、エンジンはあえいでしまう。しかし、ふだんからたまに高速で走るようにしておけば、そうしたトラブルに合うことも避けられます。

 
その意味で深呼吸というのは、肺の”能力開発”といってもいいのです。そして、この深呼吸と同じ効果があるのがカラオケですといったら、驚かれる方もいるかもしれません。ゼン息の人にも「調子の良いときには、カラオケが良いですよ」とすすめています。ゼン息というのは、呼吸の際、抹消の肺細胞での空気の交換が悪いために起こる症状で、息を吸うのはいいのですが、吐くときが苦しい。しかし、カラオケで歌うと、その吐く練習ができるので、症状が軽くなる効果があります。
 カラオケで歌う(それも大声で)と、肺細胞が末端まで活動し、肺そのものの能力を高めます。ふだんからこうして”能力開発”をしておくようにすると、タバコの吸いすぎで気道にからみといているニコチンやタールを、早く体外に痰として排出することができるというわけです。


Eいつもより多く吸った日は、寝る前にウガイをしておく

 
ふつうタバコというと、多くの人が肺ガンを思い浮かべるはずです。たしかに、それはそれで間違ってはいません。タバコを吸っている人の場合(1日25本以上、15年間)、肺ガンで死亡する率は、まったく吸わない人に比べて約5.7倍という高さです。
 
しかしタバコを吸う人がかかり易いのは肺ガンだけではありません。喉頭ガンや食道ガンも、吸わない人に比べて、それぞれ3.4倍、1.6倍という高率なのです。さらに、タバコの煙が体内に入りニコチンが血中から吸収され、それが体のすみずみまで回ると膵臓や睾丸などもガンになる確率が高くなります。
 
しかし、こうしておくら恐ろしいデータを並べられても、なかなか止められないのがタバコです。タバコの一番悪い点は、止められないと言うことだなどと冗談半分で言う人もいるほどです。とくに、会社などで会議が続く日などはストレスが溜まりやすく、ついつい本数も増えがちです。ヘビースモーカーになると、1日に3箱も空けてしまう人もいるそうです。そんな日の翌朝は、ノドがヒリヒリしたり、舌がザラついたり、痰がからんだりという症状を呈することが少なくありません。そして、その日は1日中、なんとなく不愉快な思いですごすことになります。そこで、理由は何にせよタバコを普通の日より吸いすぎたときには、その日家に帰ったらウガイをすることをお勧めしたい。ウガイといっても、風邪を予防するためにするようなウガイとは違います。ノドの周辺、口腔内に残っているニコチンを体外に吐き出すためのウガイなのです。
 タバコを吸うと煙に含まれたニコチンは肺に入り、酸素と交換され血中に送りこまれます。しかし、かなりのパーセンテージのニコチンは、気管や気管支、細気管支(気管支のさらに先端部分)にくっついて残っているのです。人間の体はそうした場合、その部分の細胞がなんとかそのニコチンを引き剥がそうと、送り出し運動をしはじめます。その結果、引き剥がされたニコチンは、痰となって体外に排出されます。しかし、その送り出し運動の能力を上回る量のニコチンがくっついているときは、それでも不十分なのです。
 ところが、そうしたとき
ウガイをすると、水と一緒に残留しているニコチンがどうにか体外に排出できるのです。ウガイのコツは、1回に盃2〜3杯の量の水を口に含み、しつこいくらいにガラガラゆすぐことです。それ以上多くの水を含むと、口の浅い部分でしかゆすぐことができず、あまり効果がありません。そして、これを10〜15回おこないます。。そうすれば、翌日目がさめた時のあのザラついた不快感もかなり防げるし、ガンへの道も一歩遠のくと言うわけです。