つい吸いすぎてしまうあなたへ
愛煙家のための健康術
Iタバコ暦の長い人でも、ビタミンCは”救世主”となる
 
私の周りを見ても、タバコを吸う人は昔に比べて随分減ってきています。たしかにタバコは体に良くない。そんなことは百も承知、しかし、タバコの楽しみは何者にも代えがたい、いまさら禁煙しようとは思わないという人が多い。その代わり、その害を少しでも少なくするという工夫をしてもらいたい。その一つがビタミンCをよく摂るということです。
 タバコに含まれている
ニコチンは、血中に吸収され代謝されるとき、大量のビタミンCを消費するし、さらに溶血作用といって赤血球を破壊してしまう働きもあります。そのニコチンの溶血作用を防ぐためにも、ビタミンCはなくてはならないものなのです。
 ビタミンというのはCに限らず、人間の体では作り出すことができない。したがって、タバコを吸っている人の場合、吸っていない人よりも、体内のビタミンC保存量はかなり少ないということになります。まして、何十年とタバコを吸っている人となればなおさらです。「左手にタバコ、右手にミカン」という事です。長い間吸い続けている人は、ふだんからイチゴやミカンなど
ビタミンCを大量に含んだ果物を摂ること。果物で摂れない人はサプリメントで摂るようにすると良い。

Jタバコのせいで顔色が悪くなったり、肌が荒れることはない

 よく、タバコを吸うと肌が荒れるのではと心配する女性がいる。肌が荒れるというのはビタミンの不足からくるもので、タバコを吸うとニコチンによってビタミンAやCが、タバコを吸わない人よりは多く消費されることから、そう言われているにすぎない。日頃から、きちんとビタミンを摂っている人は、タバコを吸ったからといって、すぐに肌が荒れることはありません。
 顔色が悪くなるのは、タバコを吸う人の赤血球が、吸わない人より小さくなっているからです。
赤血球の数は変わらないのですが、その一つひとつが小さいため顔の赤みが多少減るだけのことです。もちろん、これは病気でも何でもありません。十分、赤血球としての働きはしているのですが、顔色が気になる人は鉄分を多く摂るようにすると良い。
 鉄分をたくさん含んでいる食べ物には、ちりめんじゃこなどの小魚や、ホウレン草などがあります。最近の若い人は、ホウレン草の根っこの部分を捨ててしまう人が少なくありませんが、根っこの部分には大量の鉄分が含まれています。せめて家で食べるときは、根っこギリギリまで食べるようにしたい。

Kパイプに変えるくらいなら、紙巻きのほうがまだ安全だ
 タバコ飲みといわれる人は、タバコの量をできるだけ減らそうと、実にさまざまな工夫をしています。その努力たるや、涙ぐましいものすら感じさせます。たとえば、紙巻タバコをやめてパイプにかえるなどというのもその一つでしょう。
 たしかに、パイプにすると消費するタバコの葉の量はグンと減ります。だから、経済的にも負担が軽くなるというメリットもあります。しかし、葉の量は少なくなるかもしれませんが、
体内に吸収されるニコチンやタールの量はあまり変わらないのです。
 人間の体で感じるタバコの満足度というのは、血液中のニコチン濃度によって決まります。
パイプは、フィルターとかチャコールなどがない分だけ、一度吸うことで体内に入ってくるニコチンの量が多いのです。紙巻タバコの場合、吸っている時間が合計して100分(1日20本吸っている人の場合)かかっているのに対し、パイプなら、その三分の一以下の時間ですむということになります。しかし、ニコチンの吸収量はまったく同じなのです。
 そして、パイプのほうが吸っている時間、回数が少ないだけに、そのことに対して欲求不満を覚え、パイプに火をつける機会が増えてしまうのです。そうすると、ニコチンの量は、紙巻きタバコの場合よりも上まわるという結果になります。
 もう一つ、パイプタバコの欠点は、同じ葉に何度も火をつけたり消したりすることです。新しい葉と取り替えるわけではないから、たまっているニコチン、タールの量が増えてしまう。先にお話ししたように、シケモクを何回も繰り返し吸っているのとまったく同じことになります。
 一時期、紙巻きタバコの紙に発ガン性があると言われたこともありましたが、それは根も葉もない話でした。が、パイプタバコには舌ガンを誘因しやすいという重大なデメリットがあります。
パイプタバコも紙巻タバコも、ニコチン、タールの害というのは同じなのですが、パイプタバコを愛用している人の方が、舌ガンに関しては圧倒的に罹患率が高いというデータもあります。
 なるほど、パイプの先から出てくる煙は紙巻きタバコよりニコチン、タールとも濃厚ですし、それがより刺激的に舌に当たるわけですから、舌ガンが増えるのもうなずけます。
 このように経済的にはメリットのあるパイプタバコも、医学的には害の方が多いのです。タバコに関していろいろ研究し、少しでも害を少なくしようという気持ちはわかるのですが、これではかえって始末が悪いことになります。それよりもむしろ、
本数を減らす工夫とか、できるだけ浅く吸うなどといった、もっと効果のある方法を実行に移した方が良いでしょう。