つい吸いすぎてしまうあなたへ

愛煙家のための健康術
心 臓 病

 
一般に心臓病といわれているものの中で、一番多いのが虚血性心疾患と呼ばれる狭心症と心筋梗塞です。狭心症が悪化すると心筋梗塞になると考えてよい。これは、中年男性に圧倒的に多い病気で、胸の真ん中あたりにキューッと締め付けられるような痛みが起き、息が吸いにくく、苦しくなることがあったら要注意です。
 しかし、しばらくじっとしていると、ドキドキしていた心臓も静かになり、苦しさもウソのようになくなるのがほとんどです。そのときは不安でも、その後、同じような症状が顕れないと、「別にたいした事じゃない」と勝手に自己診断をして医師を訪ねることをしないのが、一番危険です。
 こうした胸の痛みを伴う心臓病は、早期発見と適切な治療がなされないと致命的なものもありますが、一般的にはそう危険なものばかりではありません。だからといって、ほうっておいて良いわけではありません。
”胸さわぎ”があるということは、間違いなく心臓病の前兆なのですから、すみやかに医師を訪ねて診断をしてもらうことです。
 心臓の病気といっても、程度の軽いうちに、医師の適切なアドバイスと的確な治療を受けておけば、天寿を全うすることも可能なのです。
 

 心臓は収縮、拡張を繰り返しながら、大動脈を通じて全身へ血液を送り出しています。心臓が収縮するとき、心臓の筋肉は酸素とエネルギー源を日いつ要としますが、これらは大動脈からの血液供給でまかなわれています。その大動脈の付け根の部分から、左右一本ずつ動脈が出ており、左の方は直ぐに二本に分かれています。これらは心臓に冠のようにのっかっているように見えるので、冠状動脈(冠動脈)と呼ばれています。これがしだいに枝分かれして細くなり、心筋の間に入り込んで血液を供給するわけです。
 この冠動脈のうちの一本でも内腔が狭くなり、血液が流れにくくなると、心筋への酸素供給量が必要量より少なくなってしまいます。したがって、心筋の動きが鈍くなって、胸痛が起きるのです。これが狭心症で、冠動脈が完全に閉塞してその部位の筋肉が腐るのが心筋梗塞です。
 
その原因の殆どは動脈硬化で、男性では30歳を過ぎると徐々に全身の動脈硬化が始まり、冠動脈の壁にも脂肪やコレステロールが付着してきます。しかし、人間の血管は内腔の断面積が半分になったくらいでは、血流は保たれています。狭心症の症状が出始めるのは、内腔が75パーセント以上狭くなった場合です。
 
この動脈硬化の原因ともなり、また促進する要因として上げられるのは、高脂血症、高血圧、糖尿病、タバコ、肥満です。その他にもいくつかありますが、いずれも食事療法などでコントロールできるものなので、あなたの食生活をもう一度しっかり見直して下さい。そして、過労やストレスにも十分注意をすることです。


高 血 圧 症 

 いわゆる高血圧症というのは、血圧の上(最高値)が150以上、下(最低値)が90以上のことをいっています。高血圧というと上ばかりを気にする人がいますが、上が正常範囲内であっても、下が90以上あると動脈硬化や血管の変化などが疑われるので、きちんと検査を受けておく必要があります。
 高血圧症には、原因のわかっている二次性高血圧と原因不明の本態性高血圧とがありますが、ほとんど本態性高血圧です。
 二次性高血圧のように原因のはっきりしているものは、治療の方法も明確ですが、問題は本態性高血圧です。こうち最高血圧が180以上、最低血圧が110以上の人は即刻投薬などの治療が必要ですが、それ以下の場合は、大半が自覚症状もそれほどないだけに、通院もせずにほうっておく人がけっこういます。
 たとえ、通院したとしても、担当の医師が投薬を必要としないと判断した場合は、食事療法を中心とした生活管理しか治療方法はありません。これは本人の自覚と意志に頼るしかないので、意外とむずかしく、しばらくすると挫折してしまうケースが多いのです。
 

 この程度の高血圧症の人であれば、治療をしないとすぐに脳卒中や脳梗塞になるわけではありませんが、その人の仕事内容や生活環境によっては危険な場合も出てきます。まして、長年放置しておいたりすると危険な状態になることはいうまでもありません。
 したがって、会社などの
定期健診で高血圧ぎみだと言われた人は、専門医にきちんとした検査を受け、自分がどの程度の高血圧症であるかを自覚するとともに、医師のアドバイスに従うようにする。薬を飲んだ方がいいのか、食生活を中心に生活管理をすればいいのか指示してくれるので、それを守ることです。とくに、週に一度の血圧測定は欠かさないことです。
 
投薬治療の場合、一番多く使われるのが高圧利尿剤で、尿の量を増やすことによって塩分の排泄を促し血圧を下げるのです。
日本人は塩分の摂取過多なので、この治療法が圧倒的に多く用いられています。そして、これだけで十分理想的な血圧を維持している人が半数以上に上っています。
 降圧利尿剤だけでは十分コントロールできない場合は、交感神経遮断剤、血管拡張剤、カルシウム拮抗剤などが併用されますが、これらの薬は専門的知識が必要なので、医師の判断に任せることです。