食べ物、食べ方でこんなに違う
（32)果物を”信仰”しすぎると、かえって肥満を促進する
たしかに果物には、ビタミンＣやミネラルが豊富に含まれているので、どんどんとってほしい食べ物です。とくに２日酔いの朝などはビタミンが肝臓の働きを助けるから、酒飲みにとって「朝の果物は金」という話もしました。
しかし、果物には砂糖以上に中性脂肪をつくりだす果糖が多すぎるほど含まれていることと、ビタミンＡが含まれていないということに注意していただきたい。
体内に入った果糖はビタミンＢ１の働きでグリコーゲンに合成されますが、一部はブドウ糖として血液中に流れます。砂糖を摂ったのとまったく同じです。このブドウ糖はいずれも中性脂肪となり、そしてそれがコレステロールとなって蓄積されます。ビタミンＡには、そのコレステロールを燃やしてエネルギーとして使うという大事な働きがあります。したがって、このビタミンＡが不足すると、コレステロールがすべて皮下脂肪になってしまうことになります。果物をたくさん食べれば、必要以上に果糖を摂ることになります。それなのに、その果糖が皮下脂肪になるのを防ぐ働きのあるビタミンＡがまったくないのですから、肥満防止になるどころか、かえって太ることになってしまう。果物は健康のためには良いが、ダイエットのためには効果がないのです。
（33）季節はずれの生野菜より、缶詰の野菜のほうがビタミンが多い
近頃では、トマトやキュウリが夏の野菜だと聞いておどろく子供たちが多い。それも当然で、彼らは生まれたときから一年中、これらの野菜を食べているからだ。品質改良やハウス栽培などによって、いつでも食べられるようになったのは良いのですが、旬の時期の比べるとビタミン量はかなり少なくなっています。
また、旬の野菜であっても、一番食べごろにスーパーなどの店頭に置くということになると、トマトなどはどうしても熟す前に収穫するわけです。しかし、ビタミンＡやＢ１，Ｃというのは、完熟しないと十分な量にならないから、生野菜といってもビタミンが豊富にはいっているとは限らないのです。
それに比べて、缶詰のトマトジュースのほうが、店頭に並んだ半分青いようなトマトよりもはるかにビタミンが多いのです。
生きのいい魚が味の面でも栄養の面でも優れているように、野菜も四季折々の旬のものを、畑から採りたてのみずみずしいうちに食べたいものです。
（34）ブラックコーヒーをガブ飲みする人にすすめするハチミツ利用法
近頃は、太りすぎが女性だけでなく男性にとっても最大の悩みになりつつあります。事実、肥満が脳溢血や心臓病など成人病の原因となることから、一億総ダイエット時代がくるのも遠い先のことではないでしょう。
ダイエットをしている人に共通しているのは、とにかく糖分、つまり甘い物を抑えるということです。そのせいで、最近ではコーヒーや紅茶に砂糖を入れない人が増えてきました。ところが、砂糖を入れなくなってから、コーヒーをガブ飲みするようになり、胃の調子が悪いと訴える人が増えてきています。
ダイエット中の人に毛嫌いされている糖分ですが、これは生命を維持するのに絶対欠かせないものです。糖分は体内に入るとブドウ糖に分解され全身の細胞に運ばれるが、さらに細胞内の酵素によって分解され、このとき放出されるエネルギーが生命維持のために使われるのです。
とくに脳細胞はブドウ糖だけをエネルギー源にしているため、血液中のブドウ糖が足りなくなると脳細胞の働きも鈍くなってしまいます。そこで体が糖分を要求するようになるのですが、十分に補給されないと、体が欲求不満に陥ることになります。だから、コーヒーに砂糖を入れていたという意識が脳の中に残っているため、ブラックコーヒーでもついガブ飲みしてしまうのです。
体にとって糖分は不可欠なのですが、問題なのは砂糖、とくに白砂糖の摂りすぎなのです。白砂糖は、製造過程で精製を繰り返すうちに、天然に含まれているジアスターゼなどの酵素類やビタミン、ミネラルがすっかり失われ、糖質だけをとりだした、いわば化学物質のようなものなのです。
そのため、白砂糖は消化吸収もよく、甘味が強いからついつい多量に摂るようになり、肥満につながってしまう。また、高カロリーなので、代謝の過程でカルシウムを大量に消費するため、虫歯の原因ともなるわけです。
そこで、白砂糖の代わりにお勧めしたいのがハチミツです。ハチミツは白砂糖のように精製されていないため甘味もそれほど強くありません。そして何よりも、白砂糖にはまったくないカルシウムやビタミンＣが含まれているので、栄養の補給にもいい食品です。
糖分は必要以上に摂りすぎるから良くないのであって、甘味の少ないハチミツならその心配もないでしょう。砂糖の代りにハチミツをコーヒーに入れて飲むようにすれば、ガブ飲みもしなくなるはずです。
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