成人病が気になるあなたへ
食べ物、食べ方でこんなに違う
(38)発ガン性物質が含まれているといわれている食品と付き合う法

 
日本人のガンによる死亡率は、昭和初期までは全体のわずか3パーセントでした。それが戦後、急速に増え続け、昭和57年には、ついにトップになってしまったのです。それに伴い、マスコミなどでもガンに関する情報をさかんに報道するようになったため、人々の関心も高まり、日常の話題にもガンについてのものが多くなっています。
 
なかには、やれ焼き魚のこげた部分がいけない、ワラビにも発ガン物質が含まれている・・・・・と、疑いをもたれた食品をことごとく食卓から追放している人もいるらしい。医学的にも科学的にも完全に発ガン食品と証明されているものは別にして、私は、そう神経質になる必要はないと思います。
 

(39)食事療法ができない高血圧の人のための食事法
 
ご存知のようにわが国の病気による死因のワースト3は、ガン、脳血管障害、心疾患です。このうち脳卒中や脳血栓などの脳血管障害と心筋梗塞や心不全などの心疾患は、ともに高血圧の人のかかりやすい病気です。近頃は、ガンの恐ろしさが声高に語られていますが、まだまだ高血圧も恐ろしい病気です。最小血圧90以上、最大血圧150以上という高血圧の人は、けっして減少してはいないのです。

 
高血圧には大きく分けて二つの種類があります。一つは原因不明のもの、もう一つは肝臓や内分泌、血管性、神経性など、はっきりした原因がわかっているものです。原因の明らかな高血圧は、具体的な治療によって正常な血圧に戻すことが期待できるわけですが、困ったことに高血圧の大多数のタイプは前者の原因不明のものなのです。
 いわゆる”高血圧ぎみ”というべき、軽い状態の場合は、とりたてて自覚症状も疲れもなく、血圧計の数字をみなければわからない。つまり、
高血圧の怖さは、それほどの自覚症状がないうちにも、少しずつ血管や心臓へ負担をかけ続け、ある日突然、脳出血や心不全などを引き起こすことです。したがって、血圧は治療の必要があるほど高くなくても、日頃の生活管理が大切になってきます。たとえば、塩分を控えめにして休養や睡眠をよくとることです。
 ところで、
高血圧の人の食事といえば、塩分を減らし、各栄養素のバランスをよくするのが大切なのですが、これも、一回一回の食事の献立を完璧にしてやろうと考えるとたいへんです。むしろ、一週間くらいの大きな幅で考えるようにして、結果的にバランスがとれるような食べ方を工夫することによって、かなり症状が和らぐはずです。
 一日の塩分摂取量は10グラム以下におさえるのが理想ですが、現実にはなかなかそうはいかない。たとえば、朝食に塩鮭、焼き海苔、味噌汁、漬物がおかずで、昼にラーメンを食べただけで10グラムは超えてしまいます。そんなことをいちいち気にしていたら精神的にも良くないばかりか、栄養のバランスも崩してしまいます。そこで、塩分の多い食事をしてしまったと思ったら、翌日の朝食をパンと牛乳と果物にするとか、その次の日は味噌汁を飲まないようにすれば良い。
食餌療法のように時間のかかるものは、ゆとりをもってやっていかないと長続きしないものです。
 そして、ちょっとした工夫で塩分は抑えられることも知っておいたほうが良い。
焼き魚やフライでも、しょう油やソースをかけずにレモンやゆず、すだちなどの酸味で味付けをする。味噌汁が飲みたい人は、飲む量を普段の半分に減らせば結果的には減塩になり、初めから薄めるよりもずっと美味しいはずです


(40)健康にいいからと梅干を食べ過ぎるのは危険だ
 
梅干は昔から日本人にとって信仰的な食品でした。現在のように冷蔵庫になかった時代には、食べ物を腐らせないために梅干しの防腐効果が非常に価値のあるものだったためです。また、梅干はアルカリ食品で、ミネラルやクエン酸が含まれていることから、疲労回復や食欲増進に効果があり、健康長寿の秘訣ともされていたのです。
 ところが、
梅干にはご存知のように大量の塩分が含まれています。昔のように冷暖房がなく、交通機関も発達していなかった時代は、現代人に比べ運動量も汗をかくこともはるかに多かった。そのため、塩分補給の意味でも梅干はいい食べ物でした。ところが、現在は食べ物が豊富にあり、交通機関も便利になって、体を動かしたり汗をかくことが少なくなっています。ただでさえ、塩分の摂りすぎが問題になっているときに、梅干を食べると健康にいいと短絡的に考えるのはどういうものか。
 
山登りや遠足の弁当に梅干のおにぎりをもっていくのは、体を動かした汗をかくから、塩分補給ということでは理にかなっていますが、日常生活では梅干は必要ないとさえ言って良い。とくに高血圧の人は止めたほうが良い