★坑老化(アンチエイジング)のための栄養学

1.カルシウム・マグネシウム
2. 鉄
3. 亜鉛
4. コエンザイムQ10
5.  L-カルニチン
6.  DHA
7. クエン酸
8. ビタミンC

9. カロテノイド
10. ギャバ
11.カテキン
1.カルシウム・マグネシウム
 
骨の健康に協力し合って働くミネラル
 骨はカルシウム、リン、たんぱく質でできていますが、この内カルシウムは
骨を強くする主成分です。血液中にも微量のカルシウムが含まれ、細胞の全般をコントロールしていますが、ほとんどのカルシウムは骨に貯えられ、骨はカルシウムの貯蔵庫ともなっています。血液中のカルシウム量は食物で補給することで一定に保たれていますが、食物から十分な量のカルシウムが摂れないと、骨の中のカルシウムが溶け出してしまい、骨のカルシウムの量が減ってしまうのです。
 その結果として、
成長の遅れや骨粗鬆症を招いてしまいます。とくに男性より女性に骨粗鬆症が多くみられるのは、閉経後、女性ホルモンの分泌の低下が要因といわれています。カルシウムを十分補給できる食事が大切です。
 しかし、骨の健康にカルシウムばかりに頼っていてはいけません。同時にマグネシウムの補給が必要です。
体内の約60%のマグネシウムは骨に貯えられ、骨をつくるのに欠かせないミネラルなのです。

血圧も相互作用で調節する大切なペア
 カルシウムは骨の健康を支えるだけでなく、
筋肉の収縮に関係するミネラルです。筋肉の収縮は筋肉細胞のなかにカルシウムが入ることによって起こりますが、マグネシウムはその筋肉細胞に入るカルシウムの量や、放出する量をコントロールする門番役を果たしています。
 カルシウムが多くマグネシウムが不足すると、カルシウムをコントロールできなくなり、筋肉が正しく収縮しなくなってしまうのです。すると、足の筋肉がつったりすることがあります。このけいれんが血管や心臓で起こると、狭心症や不整脈、さらには心筋梗塞の原因になることもあります。疫学調査で
マグネシウムが不足している地域は、高血圧や虚血性心疾患が多いという報告がなされています。

体内でバランスよく働くための比率
 カルシウムとマグネシウムは互いに協力し合って健康を維持する、切っても切れない密接な関係をもつミネラルです。
 1日の必要な栄養所要量は成人の場合、カルシウムは600〜700mg、マグネシウムは240〜320mg(第6次改訂日本人の栄養所要量)。より健康に保つためには、相互が体内でバランスよく働くカルシウム:マグネシウム=2:1で摂取できるのが理想といわれています。

カルシウム&マグネシウムと一緒にとりたい栄養成分は?
 納豆に多く含まれるビタミンK2には、カルシウムの骨への定着を高める働きがあり、そのカルシウムの吸収を助けるのがビタミンDです。ビタミンDは血液に溶け出したカルシウムが再び骨になるのを助けます。そして骨の生まれ変わりに欠かせない女性ホルモン、エストロゲンに似た働きを持つ大豆イソフラボンも大切です。さらにカルシウムやマグネシウムの吸収に差をつける成分として、話題のツイントースも一緒に摂りたい成分です。


2. 鉄

鉄分は血液のもととなる栄養成分
 血液にはさまざまな成分が含まれています。その中の一つである赤血球は、肺から取り込んだ酸素を全身に運ぶ役割を果たしています。鉄は体の中で赤血球のヘモグロビンという物質の構成要素となって、酸素を運ぶのに役立っています。
 赤血球の寿命は約120日です。古くなった物は分解して、絶えず新しい赤血球が骨髄で作られています。鉄は大切な成分なので分解された赤血球から再利用されていますが、1日1mgが排泄されていまいます。このため、毎日の食生活で鉄分を補う必要があります。
 
女性やスポーツ選手に貧血が多いのはなぜ?
 
大人の体の中には、約4gの鉄があります。そのうちの約70%は、赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビン(ヘモグロビンに似たたんぱく質)の成分となって、酸素を運んでいる「機能鉄」です。残りの30%は肝臓などに貯えられている「貯蔵鉄」です。働いている機能鉄が減ってくると、貯蔵された鉄が不足を補うしくみとなっています。
 しかし、
月経のある女性は定期的な出血で鉄を失うので、この貯蔵鉄が補いきれないこともあります。月経過多や4球筋腫などで出血量が多い人、妊娠中や授乳中の人、ダイエットで食事量が少ない人、急激に体が大きくなる成長期の子どもなども、鉄が欠乏しやすいでしょう。
 また、
スポーツ選手は運動による酸素の消費量が多いので、そのぶん多量の鉄を必要としますが、十分に食事からとることができずに、貧血に陥っている人が多いと言われます。

鉄欠乏性貧血になると、どんな症状が出ますか?
 
鉄の主な働きは、体の各器官に酸素を運ぶことですから、不足すると体は酸欠状態になります。ちょっと動いただけで動悸や息切れ、めまいや立ちくらみなどの症状が起きてきます。慢性的な体のだるさや集中力の低下、スタミナ不足を感じることもあります。

鉄と一緒に摂りたい栄養成分は?
 
貧血の多くは鉄欠乏性貧血ですが、鉄が十分にあるだけでは、血液の主役ヘモグロビンを作ることはできません。ミネラルの一種である銅がたんぱく質と結びついて、鉄をヘモグロビンの合成に利用できる形に変えているのです。ビタミンB群の中のB6、B12、葉酸も同じように赤血球のヘモグロビンの合成を助けています。なかでも、ビタミンB12と葉酸は悪性貧血を予防することで発見されたビタミンで、”赤いビタミン”とも呼ばれています。さらに、鉄などの吸収を高める「ツイントース」も、一緒に摂りたい成分です。

3. 亜鉛

全身で重要な働きをするミネラル
 亜鉛は、体の中に2g程度とごく微量しか存在していませんが、200種以上もの酵素をつくる必須成分として、重要な役割を担っているミネラルの1つです。
 主な働きは、新しい細胞をつくるために遺伝子情報をコピーしたり、たんぱく質の合成などの反応にかかわる酵素の成分となることです。
 このため、
亜鉛が不足すると細胞の新陳代謝が不活発となり、子どもでは成長や性機能の発達の遅れ、大人では皮膚のターンオーバーが低下して肌荒れが起きるほか、味覚障害や性機能障害などが現れます。

味がわからなくなる「味覚障害」
 人間の味覚では、舌にある感覚細胞が味の特性をキャッチ。甘味、塩味、酸味、辛味、苦味、旨味を感じとって、脳に伝えます。この感覚細胞には亜鉛が多く含まれていますが、亜鉛不足になると感覚細胞の新陳代謝がスムーズにいかなくなり、味がうまく感じ取れなくなってしまいます。
 味覚障害には、味が薄く感じられる味覚減退や、甘味、塩味などの特定の味がわからなくなる解離性味覚障害などがあります。人によってはまったく味を感じなくなったり、何も食べていないのに苦味を感じることもあります。
 以前は、味覚障害はほとんどが高齢者でしたが、最近は若い年代や子どもにまで(味がよくわからない人」が増えています。その原因は主に、亜鉛の摂取不足と考えられ、
微量ながら重要な成分なのです。

精子の製造、卵子の成長にも大切
 亜鉛の別名は「セックスミネラル」。生殖能力に深く関わっています。亜鉛は精子をつくるのにも必要なのです。亜鉛を十分に摂ると、受精に重要な静止の運動も活発になります。また、女性の卵子にも欠かせません。不足すると、月経不順が起きることがあります。

亜鉛と一緒に摂りたい栄養成分は?
 亜鉛などのミネラルは、吸収の悪さが難点。しかし、近年ミネラルの吸収を促進する画期的な成分が発見されました。それが、「ツイントース」。腸管でのミネラル吸収を高める働きが確かめられています。亜鉛といっしょにツイントースを摂ると、吸収率が高くなります。

大切な働きをするミネラルの仲間
 セレンは、ビタミンEと協力して働いて、坑酸化作用を増強するミネラル。また、セレンが不足するとガンの発生率が高まることから、坑ガン作用にかかわっていると考えられています。クロムは、糖質や脂質の代謝に役立つミネラルです。糖尿病や動脈硬化の予防につながるとされています。


4.コエンザイムQ10

コエンザイムQ10はもともと体内にある物質
 コエンザイムQ10は、エネルギー産生に欠かせない補酵素の1つです。私たちの体は毎日休むことなくエネルギーをつくり続けていますが、1957年にこれがないとうまく産生できないという物質が発見されました。それがコエンザイムQ10です。
 全身のほとんどの細胞に存在していますが、心臓、肝臓、腎臓、すい臓、脳、肺など活発に活動する臓器ほど、多くのコエンザイムQ
10を含んでいます。その量は、体重60kgの成人男性で約700mgとされています。

細胞の元気を取り戻し、エネルギーを生み出す
 コエンザイムQ10はエネルギー産生に欠かせない大切な物質ですから、私たちは自らの体内で合成しています。しかし、多くの臓器で、コエンザイムQ10の濃度は20代をピークに加齢とともに減少していきます。一番含有量の多い心臓では、40代で30%、80代で50%以上が失われてしまいます。コエンザイムQ10の濃度が半減するということは、その細胞のエネルギーを産生する能力が低下することを意味しています。
 つまり、コエンザイムQ
10を補えば細胞は元気を取り戻してエネルギー代謝を高めて疲労から回復しやすくなったり、心臓の機能や免疫機能も高めることができるのです。

コエンザイムQ10は体のサビつきを食い止める
 老化を早めたり、さまざまな病気を引き起こす原因と見られているのが、細胞の酸化(サビつき)です。この体のサビつきに対抗する坑酸化物質の代表格はビタミンEですが、コエンザイムQ10が一緒になければ、ビタミンEは坑酸化力を発揮しにくいことが研究者の実験で確かめられています。老化防止のためにも、コエンザイムQ10は大きな役割を果たしているのです。
 コエンザイムQ
10は、イワシやサバなどの青魚や豚肉、牛肉、ピーナッツ、ほうれん草、ブロッコリーなどに含まれていますが、食事から摂取できるのは1日に平均10mgぐらいです。一方、細胞の元気を維持して老化防止に役立てるには、1日に60〜100mgの摂取が望ましいとされています。

コエンザイムQ10と一緒に摂りたい栄養素
 ビタミンEとコエンザイムQ10は、ともに坑酸化作用の高い栄養素です。ビタミンEにはコエンザイムQ10の吸収を助ける働きがあるので、一緒に摂るとよいでしょう。また、ビタミンB6にはコエンザイムQ10の免疫作用を活性化させる働きを助ける機能があります。併せてビタミンB6も摂取するようにしましょう。


5.L-カルニチン

脂肪をエネルギーに変えるアミノ酸様物質
 L−カルニチンは、私たちの体の中に存在している、アミノ酸の成分に似た働きをもつアミノ酸様物質です。
 この
L-カルニチンは体脂肪の燃焼を促す働きがあることがわかり、最近注目を集めています。内蔵や皮下に蓄えられた体脂肪は、運動による体温上昇やホルモンの分泌によって脂肪酸となって、筋肉細胞の中のミトコンドリアでエネルギーとして産生されますが、L-カルニチンは脂肪酸がミトコンドリアの中に入るのを助けます。つまり、L−カルニチンが不足していると、脂肪が燃やされにくくなるのです。

加齢とともに低下、体脂肪が燃えにくくなる
 毎日の食事で、必須アミノ酸のリジンとメチオニンを十分に摂っていれば、それらを材料に肝臓でL-カルニチンが合成されます。しかし、加齢とともにその合成能力は衰えてくるといわれています。一般に、成人の体内には20〜24gのL−カルニチンがあるとされていますが、60歳代になると20歳代の頃の6割に減るといわれています。
 L−カルニチンは、脂肪を燃やしてエネルギーを生み出すうえで不可欠な成分。不足すると体脂肪がたまりやすくなるばかりでなく、ちよっと動いただけで体がだるい、息切れがする、疲れがなかなかとれないといった症状が出てくることもあります。


体内のL-カルニチンを増やすには?
 L−カルニチンは、筋肉のエネルギー産生に関わる成分なので、赤身肉に豊富に含まれています。また、魚にも少し含まれていますが、野菜、果物などの植物性食品や卵、牛乳にはほとんど含まれていません。
 したがって、
L−カルニチンを積極的に摂るとなると、肉中心の食生活が求められます。しかし、牛肉で「国際的な食品からの摂取量(75mg)」のL−カルニチンを摂ろうとすると、毎日約100gの牛肉を食べる必要があり、これではカロリーオーバーに。日本では2002年に、それまで医薬品扱いだったL−カルニチンを厚生労働省が食品として認可。サプリメントとして手軽に利用できるようになりました

L−カルニチンといっしよに摂りたい栄養素
 L−カルニチンは、脂肪酸がミトコンドリアのなかに入るのを助けますが、エネルギーを産生するクエン酸回路の中に入るためには、さらにビタミンB1の助けが必要です。また、コエンザイムQ10には、クエン酸回路でのエネルギー産生を高める働きがあります。コエンザイムQ10やビタミンB1をいっしょに摂って、脂肪を効率よく燃やしましょう


6.DHA

DHAは強力な「健脳食」
 脂肪酸は「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に大別されます。DHA(ドコサヘキサエン酸)は、魚の油に含まれている不飽和脂肪酸。DHAは人間の体内ではたくさんつくることができないため、食事から摂ったほうがよい必須脂肪酸のひとつ。特にマグロやイワシ、サバ、サンマなどの青魚に含まれ、食べると頭の働きがよくなるとして、その効用が見直されるきっかけとなった栄養成分です。
 DHAは細胞膜の構成成分のひとつで、体の中では眼や脳、心筋の細胞に多く含まれています。脳ではニューロンと呼ばれる神経細胞が情報をやりとりしていますが、DHAはニューロンの先端部分に多く含まれていて、スムーズな情報伝達に役立っています。
 中でも、記憶の機能を持つ「海馬」という部位には、高い割合でDHAが含まれています。
DHAが不足すると、情報伝達がうまくいかなくなって、学習能力や記憶能力が低下してしまうのです。

モノが見えやすくなる働きも
 人間の体の中で、もっとも多くDHAが含まれているのは眼です。平均的な細胞に含まれているDHAの量を1とすると、眼の網膜細胞の膜をやわらかくする作用があり、脳と同じように視覚の情報伝達をスムーズにする働きがあります。実際に、DHAを摂取すると高齢者の視力が改善したという研究も報告されています。
 
血液をサラサラにする
 ラードなどの獣指類は常温ではすぐに白く固まってしまいますが、冷たい海水中を泳ぐ魚の油は固まりにくい性質をもっています。この固まりにくい性質はDHAによるものです。
 DHAには、血液中のコレステロール値を下げる働きのほか、善玉コレステロールの比率を増やしたり、中性脂肪の値を下げる、血栓の予防や解消に役立つ、赤血球の柔軟性を保って血流を即すなど、数々の改善効果が認められています。
DHAの血液サラサラ効果を有効に活用したいものです。

アレルギー体質の改善に有効
 動物性の油より植物性の油が良いといわれ続けた結果、反対にその摂りすぎによって、アレルギー疾患や、動脈硬化などの生活習慣病の増加の要因となっています。
 これは、リノール酸などの植物油の摂りすぎにより、体内に増えたアラキドン酸が、アレルギーや動脈硬化、血栓などを引き起こす物質に変化するために起こる現象です。その働きを阻止する成分として今注目されているのが、マグロなどの青魚に多く含まれている
DHAです。DHAは炎症を起こすアラキドン酸由来物質の働きを抑制して、アレルギーを防ぐ免疫力を調整します。


7.クエン酸

昔から体によいとされる酸っぱいもとがクエン酸
 クエン酸はレモンなどの柑橘類や梅干などに含まれている有機酸の一つ。レモン100g中には2.4g、梅干100g中には3.3gのクエン酸が含まれています。
 昔から
酸っぱいものは体によいとされていますが、酢の酸っぱい成分は酢酸です。しかし、酢の中でも黒麹もろみ酢は、通常の米酢とは異なる発酵をしているので、クエン酸が多く含まれているのが特長です。
 クエン酸の体によい働きは、主に
血流改善効果と疲労回復効果にあります。 

クエン酸を摂るとドロドロ血がサラサラに
 血液の流れをよくする食品の代表として、梅干や黒麹もろみ酢があげられます。これらには、クエン酸がたっぷりふくまれているからです。
 血液をドロドロにする要因の一つは、血小板にあるといわれ、必要以上に血小凝集が起こると、血液はドロドロになると考えられています。
 クエン酸は血液の凝集を抑える働きをしているといわれています。これにより血流が改善。
血液のドロドロをサラサラにする効果が得られるのです。

クエン酸は運動後の疲労を残さない
 クエン酸は、糖質からエネルギーを産生する仕組みに、深く関わっています。
 食べ物として取り込んだ糖質は、ブドウ糖(グルコース)に分解されて、血液の流れに乗って細胞へと運ばれます。この細胞に入ったグルコースは通常、酵素の働きによってアセチルCoAに変換され、TCA回路(クエン酸回路)で、エネルギーをつくり出します。

 しかし、短距離走などの場合、一定の時間、酸素を取り入れずにエネルギーを産生することから、エネルギー産生に酸素を必要としない
別の経路が活発に働くようになります。

 この経路は大変エネルギー産生効率が悪いうえに、たくさんの乳酸をつくりだしてしまうのですが、クエン酸はこの溜まった乳酸の代謝を促進することにより、運動による筋肉の疲労回復に役立つといわれています。

黒麹もろみ酢と梅酢
 黒麹もろみ酢は、米と黒麹、酵母、水を原料にした沖縄の泡盛をつくる過程でできたもろみを用いたもの。クエン酸はもちろんのこと、アミノ酸などを豊富に含んでいます。梅酢は、梅干をつくる過程でできたもの。疲労回復や血流改善に役立ちます。


8.ビタミンC

体の各機能がスムーズに働くためにサポートする成分
 ビタミンは、ミネラルとともに体のさまざまな働きをサポートする大切な栄養素です。そのなかでも、ビタミンCには40ともいわれる多くの効能があります。
 おもな働きは、まずは老化の元凶とされている活性酸素を消去する
「坑酸化作用」。ビタミンCは、ビタミンEやβ-カロテンとともに「坑酸化ビタミン」と呼ばれています。
 そして、ビタミンCには
「免疫力を高める作用」もあるといわれています。風邪などの感染症予防にビタミンCをたっぷり補給すると、体の抵抗力を高めることができます。
 また、ビタミンCには、
「美肌効果」も期待できます。皮膚の真皮のコラーゲン合成を活性化して肌の弾力性を保つほか、シミやソバカスをつくるメラニンの合成を抑える働きもよく知られています。

ストレス、喫煙や飲酒などで現代人は潜在的にビタミンC不足!
 現代人は潜在的にビタミンCが不足している人が増えていると考えられます。
 その理由は、ストレスや喫煙、飲酒。ストレスを受けると、体内のビタミンCが多量に消費されて、ストレスに対抗するホルモンをつくります。また、喫煙によって有害物質が体内に入ってくると、
坑酸化作用のあるビタミンCが大量に使われます。飲酒でも、ビタミンCの代謝が早くなります。
 ストレスが多い人、喫煙や飲酒の習慣がある人は、より多くのビタミンCを補給する必要があるのです。


回数をわけてこまめに摂り不足状態をつくらない
 ビタミンCの1日の成人の栄養所要量は100mgですが、これは欠乏症にならないための最低限の量。ストレスが多い、喫煙や飲酒の習慣があるなど、ビタミンCが不足しやすい状況がある場合は、余裕をもって多めに捕ったほうがいいでしょう。
 ビタミンCは水溶性のビタミンですから、
体内にためておくことができまません。一度にまとめて摂ると、体内で使われなかった分は、尿中に排泄されてしまいます。回数をわけてこまめに摂取したほうが、体の中で効率よく働くことができます。

いっしょに摂りたい成分ビタミンP
 ヒタミンPには、ビタミンCの体内吸収を助けたり、ビタミンC自体が酸化されるのを防ぐ働きがあります。ビタミンCの有用な働きを助けるパートナーでもあるビタミンPを、いっしょに摂りましょう。ビタミンPは、レモン、オレンジ、ミカンなどの柑橘類の皮に多く含まれています。

9.カロテノイド

野菜や果物のカロタノイドは、活性酸素から守ってくれる成分
 カロテノイドは、緑黄色野菜や果物に含まれている赤や黄色、橙色の色素の一種。自然界には、約600種のカロテノイドが見つかっています。
 野菜や果物は、光合成によって太陽のエネルギーを得ていますが、このとき紫外線を浴びて活性酸素が発生します。この活性酸素の害から身を守るために、植物は各種のカロテノイドを合成ているのです。

 このためカロテノイドは細胞の老化を招く活性酸素を消去したり弱めたりする「坑酸化力」にすぐれています。また、必要に応じて体内でビタミンAに変わる栄養素でもあります。

健康を支えるために重要な5種類のカロテノイド
 健康維持に重要な働きをするカロテノイドは、ベータカロテン、アルファカロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチンの5種類。
 ベータカロテンは、ニンジンやカボチャなどに豊富に含まれている黄・橙色のカロテノイドです。坑酸化作用が強く、またビタミンAが2個つながった構造をしているので、必要なときは切り離されてビタミンAとして働きます。
 アルファカロテンは橙色で、ニンジン、カボチャ、コーンなどに多く含まれています。肺ガン、皮膚ガン、肝臓ガンの発生を抑える効果に、最近注目が集まっているカロテノイドです。
 リコペンは、トマトや赤ピーマンに含まれている赤い色素。坑酸化作用が強く、免疫を強くする効果が期待されています。
 ルテインは、ケールやホウレンソウ、夏カボチャ、ブロッコリーに多く含まれている黄緑色の色素。眼の網膜に多く含まれている色素で、加齢性黄斑変性症を予防する効果が報告されています。
 ゼアキサンチンは、ケール、ホウレンソウ、マンゴなどに含まれている橙色の色素。ルテインとともに、網膜に多く存在しているカロテノイドです。

さまざまな野菜、果物からバランスよく摂ることが大切
 カロテノイドは体の細胞の老化を招く活性酸素を防ぐ作用が注目されています。5種類のカロテノイドをバランスよく摂ることによって、より多くの活性酸素を消去したり弱めることができるのです。
 外食や加工食品を食べる機会が多くなると、野菜が不足気味になります。ふだんの食生活で緑黄色野菜が足りないときは、カロテノイドがバランスよく摂取できるサプリメントを活用してみてはいかがでしょうか。

アスタキサンチンは、海産物由来のカロテノイド
 アスタキサンチンは、海中の藻類に含まれる赤色のカロテノイド。藻を食べるプランクトンや、それをエサにする、サケ、エビ、カニなどに含まれています。ベータカロテンの数十倍という強い坑酸化力があり、血管内の活性酸素を除去して血行改善に役立ちます。生活習慣病やストレス、老化に対抗するカロテノイドとして、注目が集まっています。

10.ギャバ

ギャバはアミノ酸の一種、抑制性神経伝達物質の代表格
 ギャバ(GABA)の正式な名前は、「ガンマーアミノ酪酸」。玄米の胚芽、大豆などに含まれているアミノ酸の一種です。緑茶や桑の葉、紅麹などにも微量ながら含まれています。
 人間の体の中では、ギャバは脳や脊髄に多く存在しています。脳はおよそ140億個の神経細胞でできていて、神経細胞同士は「神経伝達物質」をやりとりしながら、情報をつたえています。
 この神経伝達物質には、「興奮性」と「抑制性」のものがあり、ギャバは抑制性の神経伝達物質の代表格。精神安定作用のあるギャバを摂ることによって、
不眠や睡眠障害、抑うつ気分が改善したという報告もあります。
 また、ギャバは、脳の血流を改善して酸素の供給量を増やすので、
脳細胞の代謝(老廃物を排出して、栄養を摂取する働き)を活性化するのにも役立ちます。

生活習慣病予防にも期待、明らかになったさまざまな効果
 キャバには、高血圧の改善、精神安定作用のほか、肝機能、糖尿病や肥満など、さまざまな生活習慣病の予防や改善効果が期待されています。
 実際に、血圧が高い人にギャバを8週間摂ってもらった研究では、収縮期血圧(高い血圧)、拡張期血圧(低い血圧)ともに低下しました。これは血管を拡張させ、興奮性の神経伝達物質を抑制させるギャバの機能によるものとされています。
 また、
老化した脳を若々しくさせる可能性があることも報告されています。世界最高齢の猿(ヒトの78〜96歳に相当)の脳にギャバを注入したところ、神経細胞の働きが回復しました。
 このほか、アレルギーを引き起こす過剰な免疫反応を抑える働きについても、研究が進められています。


摂取量の目安は1日10〜20mg、発芽玄米は白米より約10倍も多い
 
健康な人が高血圧を改善する目的でギャバを摂る場合は、1日10〜20mgが目安になります。もっと多くの量を摂っても、短時間ですぐに分解されて排出されるので体への害は心配ありません。 
 
玄米をわずかに発芽させた発芽玄米には、眠っていた酵素が活性化することによって通常の玄米の約3倍、白米の約10倍ものギャバが含まれています。主食に発芽玄米を取り入れると、より多くのギャバを補うことができます。また、発芽玄米はビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素も豊富に含んでいます。
ギャバの含有量(100g中)
白米 1.0mg
胚芽米 2.5mg
玄米 3.0mg
発芽玄米 15.0mg
11.カテキン
 
緑茶の渋味成分、植物ポリフェノールの一種
 カテキンは、ツバキ科のチャの葉や葉芽に含まれている植物ポリフェノールの一種。茶葉の中に一番多く含まれている成分で、乾燥重量の約10%がカテキンです。
 お茶は、同じ茶葉から製造方法の違いによって、不発酵の緑茶、半発酵のウーロン茶、発酵させた紅茶などかつくられます。カテキンは水溶性の成分なので、発酵させない緑茶には生の茶葉の成分がそのまま残されています。
 緑茶には主に4種類のカテキンが含まれていますが、中でもエピガロカテキンガレードが一番多く、全体の約半分を占めています。この
カテキンは坑酸化力が強く、その効力はビタミンEの約20倍といわれています。

抗菌作用と坑酸化作用、ダブルで健康を守る
 お茶でうがいをすると風邪の予防に効果的ですが、これはカテキンの殺菌作用によるもの。カテキンには、体に侵入したウイルスに付着して、体内への侵入を防ぐ働きがあります。
 胃や十二指腸の潰瘍の原因となり、胃ガンとも密接な関係のあるヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の除菌にも、お茶のカテキンは有効だとされています。
 ポリフェノールは、
活性酸素の毒性から体を守る坑酸化作用があり、動脈硬化や発ガンの予防、老化防止に役立ちます。
 緑茶の生産地、静岡県泰原郡の川根地区は胃ガンの死亡率が県内でもっとも低く、同郡中根町の男性の胃ガンによる死亡率は全国平均の5分の1と、極端に低い数字になっています。これは、他の地域に比べて、お茶の摂取量が多いからと考えられます。

緑茶パワーで脂肪を燃焼、ダイエットにも効果的!
 ポリフェノールを多く含んでいる食品としては、赤ワインやココアが有名です。しかし、これらを飲みすぎると、アルコールや糖類を一緒に摂ってしまうことに。緑茶にはこういった欠点がなく、しかもローカロリー。摂りすぎを心配する必要がありません。
 また、最近、緑茶とダイエットの関係が注目され始めています。食べ物で摂取した脂肪は腸で吸収されますが、
緑茶のカテキンとカフェインの相乗効果によって体脂肪の分解を高め、脂肪の燃焼に役立つことがわかってきました。日本人に長く親しまれてきた緑茶には、こういったカテキンパワーが秘められているのです。
緑茶に含まれるカテキン量
(茶葉100g中のタンニン量)
煎茶 13.0g
紅茶 11.0g
玉露 10.0g
抹茶 10.0g
ウーロン茶 0.03g