★女性の健康を支える大豆イソフラボン

大豆イソフラボンは心筋梗塞や脳卒中の予防に役立つ
 脳卒中は主な死因だけでなく、寝たっきりや痴呆の半分近くの原因です。いったん脳卒中になれば治療は困難で予防が大切と考え、1983年WHOの協力で世界25カ国60地域の調査を開始しました。世界各地の人たちの食事調査と24時間尿、血液検査などを徹底的に調べるという大規模なものでした。こうした地道な調査のデータは、大豆を多く摂っている地域は大豆をあまり食べていない地域より、代表的な例では虚血性心疾患である心筋梗塞や脳卒中が明らかに少ないのです。

大豆イソフラボンは更年期に減少するエストロゲンの代わりに働く
 日本人の心臓病による死亡率は欧米に比べて非常に低い、骨粗鬆症による大腿骨骨折率は米国の半分、乳ガンや前立腺ガンによる死亡率は米国の4〜5分の1です。大豆イソフラボンは現在までに、ダイゼイン、ゲニステインを代表する12種類のイソフラボンが確認されていますが、この大豆イソフラボンが健康に深い関わりがあることがわかってきました。
 日本や中国など昔から大豆を食べている地域の女性は、更年期になっても、いわゆる更年期症状といわれるものが少ないのです。血圧とコレステロールも、更年期以前とほとんど変化がありません。大豆イソフラボンには更年期に減少するエストロゲンによく似た働きがあり、
エストロゲンの代わりをして、更年期症状を緩和していると考えられます。
 
女性ホルモンの代わりに働く大豆イソフラボンの作用はエストロゲンよりソフト
 大豆イソフラボンがエストロゲンと同じような構造式をしており、エストロゲンのような作用を示しますが、エストロゲンに比べ非常にやわらかく働きます。
 イソフラボンを多く摂っている地域では、乳ガンの死亡率の低いこともわかりました。これは細胞にあるエストロゲンがくっつく受け口(受容体)にイソフラボンが入ると、
ガン細胞の増殖に関わるエストロゲンがくっつけず、ガン細胞を増やせないからです。


大豆イソフラボンは受け口をブロックして環境ホルモンからも体を守る
 環境ホルモンも大豆イソフラボンと同様に、エストロゲンの受け口とくっつく性質を持っています。ですから、体の中でエストロゲンと環境ホルモンは競争して受け口にくっつこうとします。環境ホルモンはわずかな量でも体内に入って受け口にくっつくと、しっかり離れずどんどん悪さをし続けます。しかし、体内に十分な大豆イソフラボンがあると、先回りをして受け口をブロックし、環境ホルモンが入り込めないようになると考えられます。

加齢と閉経によって減少する骨量、骨の健康には大豆イソフラボンが働く
 大豆胚軸を毎日5g(イソフラボン50mg)摂取している人は、尿中にイソフラボン排泄量が多く、骨が壊される時に排出されるデオキシピリジノリン、ヒリジノリンという2つの成分の排出が少ないのです。イソフラボンがエストロゲンの代わりをして、骨からのカルシウムの流出を抑えてくれていることがわかったのです。
 したがってイソフラボンを摂り続ければ、閉経後でも
骨を丈夫に保つことが期待されます。しかも、イソフラボンの働きはエストロゲンの1/1000という弱さ。体にやさしく安全といえます。

大豆イソフラボンを毎日50〜90mg摂取することで骨の健康を支えられます
 日本人の場合、普段の食事から1日20mgほどのイソフラボンを摂る習慣がありますが、さらにイソフラボンを摂ることで骨の健康を保つことができそうです。具体的には1日50〜90mgノイソフラボンを摂れば、その効果が期待できます。骨折による寝たきりの予防も夢ではありません。




大豆イソフラボンは悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす
 イソフラボンは、胆汁となって腸に出されたコレステロールをつかまえ、体外に便として排泄してくれるので、コレステロールは下がります。さらにイソフラボンは肝臓での悪玉コレステロール(LDL)の処理を助け、これも低下させます。この2つが協力し合うので丸ごとの大豆がよいということもわかりました。しかもLDLが減少するだけでなく、善玉(HDL)コレステロールはむしろ増える傾向があります。

大豆イソフラボンで7年長生き、減塩で3年長生き、併せて10年健康寿命は延びる
 血管内皮の働きが悪くなると、血管が詰まり血圧が上がることがわかりました。内皮細胞は血管内で血液が固まらないよう血液サラサラ物質をつくっているからです。この内皮細胞の働きを高めてくれるのがエストロゲンで、イソフラボンもこれを助けてくれます。
 1日大豆25g(イソフラボン50mg)を摂って7年長生きに、塩分を1日6g減らして3年長生きに、併せて
10年は健康で長生きすることが期待できます。