★目によい栄養素

アントシアニン・DHA・カロテノイド・ビタミンB群

近くのモノを見る時、目は調整力を働かせ、それが疲れの原因に
 1mよりも近いところを見るときには、目は調整力を働かせています。その調節をしているのが毛様態という筋肉です。毛様態は水晶体の厚みを増して、近くのモノにピントを合わせているのです。
 パソコンや携帯電話などの近作業を続けていると、この毛様態の筋肉疲労が目の疲れを招いてしまいます。
 
目の使いすぎや加齢によって、水晶体の弾力性もしだいに失われていきます。すると、毛様態の筋肉が緊張しても水晶体が十分に厚くならないので、近くのモノにピントが合いづらくなります。これが疲れ目や老眼(老視)の状態です。老眼では、無理に近くのモノを見ようとすると、若い人よりも疲れがたまりやすいので注意が必要です。

まばたきが減って、涙液のうるおい不足からドライアイに
 最近増えているドライアイは、涙液が失われ、うるおいがなくなった状態です。
 ドライアイの原因は、パソコン画面などを凝視することによるまばたき回数の減少のほか、エアコンによる低湿度、大気汚染などが考えられています。
 目の疲れにはさまざまな要因がありますが、2〜3日で回復するようであれば心配はいりません。しかし
、慢性的な疲れは、食生活やライフスタイルを見直すことが大切です。

涙を補給して外からも対策を
モノを凝視してると、まばたきの回数が少なくなって目の乾燥が進み、疲れが増します。目が疲れたときには、涙液の成分を主体にした目薬で、うるおいを取り戻しましょう。眼球はデリケートな器官なので、マッサージはおすすめできません。目の周囲の骨のあたりを、やさしくなでる程度が安全です。


目の疲れの回復に役立つ栄養成分

「ブルーベリー(ビルベリー)」の色素成分アントシアニンがロドプシンの再合成を高める
 ブルーベリーには青紫色のアントシアニンという色素があり、このアントシアニンにはロドプシンという視細胞の中にある物質の再合成を高める作用があると考えられています。
 
ロドプシンは光の刺激を受けると構造変化して、すぐに再合成されるという性質をもっており、その時間は、わずか1万分の4秒というすごいスピーヘド。目の疲れがたまると、この再合成がスムーズに働かなくなるのですが、アントシアニンを摂取して4時間ほどで再合成が活発になることが確かめられています。夜間の視力や視野を広げる効果も期待できる成分です。
 また、ブルーベリーの強力な坑酸化作用が目には大切です。目を使いすぎることによって、網膜の視細胞は光の刺激で常に傷ついていますが、ブルーベリーに含まれているアントシアニンは、酸化ストレスから目を守ってくれます。
 アントシアニンは、このほかにも、毛様態の血行を改善することから、毛様態の疲労回復にも役立つと言われています。

パソコン作業は2時間ごとに休憩を
 パソコン作業は近距離のディスプレイを凝視するので、とりわけ目は疲れます。2時間作業したら、目を閉じたり遠くを見て目を休めましょう。テレビゲームは光の刺激が強いので、連続して行うのは1時間が限度。室内が暗いと刺激はさらに強くなるので、室内の明るさを保つことが大切です。

「ビタミンB群」
が水晶体や角膜の透明性を保って、神経の働きも助ける

 ビタミンB群は、目に多く含まれている栄養素です。なかでも重要なのは、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12の3種類。これらは、目の網膜を正常に保つことに役立っています。
 また、
ビタミンB12は神経の働きを助けるビタミン。網膜に映った映像を脳に伝える機能に関与しているので、パソコン作業や目を酷使する細かい仕事をしている人などは、十分に補給したほうがいいでしょう。
 日本人の栄養状態が悪かったころには、ビタミンB群やビタミンAの不足から角膜に障害が起きることが少なくありませんでした。現代人には特にビタミンB群が不足しやすいので、
目が疲れやすい人はビタミンB群をしっかり補うことが重要です


目を老化から守る栄養素

「ルテイン」「ベータカロテン」モノを見るうえで重要な黄班部を構成している色素
 最近、急増している黄班変性症は、モノを見るときに一番大切な働きをしている網膜の黄班部(上図参照)に以上が起きて、視覚障害が起きる病気です。欧米に多い病気でしたが、日本でも食の欧米化やストレス社会になってきたことによって、最近増加の傾向にあります。50歳代以降の人の0.7%がかかるとされています。
 黄班部は、網膜のほぼ中央、直径わずか1〜2mmのごく小さな組織ですが、目に入った光がここで像を結びます。ここの視力は通常は1.0以上、周囲の視力は0.1程度なので、まさに
モノを見るときの中核となっている部位です。
 黄班部には、緑黄色野菜に含まれているカロテノイドのルテインとゼアキサンチン(体内でルテインと同じ働きをする)が蓄積されています。
 
ルテインは目の奥まで届く性質をもった有害な青色光を吸収して黄班部を守り、活性酸素を消去しているのです。したがって、目のカロテノイド量が不足すると、黄班変性症にかかるリスクが高まることが報告されています。
 黄班変性症にかかると、モノがゆがんで見えたり、中心部がぼやけて見えたりしますが、ルテインやベータカロテン、ビタミンB2、ビタミンE、各種ミネラルを補ったところ視覚異常の改善が見られました。予防のためにもルテインなどのカロテノイドを積極的に摂ることです。
 また、カロテノイドの一種、
ベータカロテンは体内でビタミンAに代謝されてロドプシンの構成成分になります。坑酸化作用もあるので、目の健康に欠かせない色素の1つと言えます。
 


「DHA」視細胞の中に含まれ細胞の膜をやわらかくして、情報をスムーズに伝える
 網膜が感じた光の刺激を脳に伝える視細胞の中には、DHAが多く含まれています。DHAは脳の働きを高める栄養素として有名ですが、人間の体の中で脳よりも肝臓よりも、一番多くDHAがあるのは視細胞なのです。
 DHAには視細胞の幕をやわらかくする働きがあり、視細胞にDHAが多いと、脳と同じように神経伝達物質も放出されるので、視覚の情報伝達がスムーズになるのです。つまり、
DHAはモノが見えやすくなるという効果があると考えられています。実際、高齢者の視力改善にDHAの摂取が有効とするデータも報告されています。

メガネやサングラスには紫外線カットのレンズを
紫外線は目の老化の要因に。ふだんのメガネに紫外線カット機能のついたレンズを使用することがおすすめです。外出時は、紫外線カット機能に加えて、濃い程度の色のサングラスを利用するとよいでしょう。