ホントのダイエットを見つけよう

 リバウンドを繰り返し、健康に悪い影響を与える間違ったダイエットに惑わされず、正しい方法を理解し、実行してほしいのです。ダイエット(diet)とは、単に「食事」という意味もありますが、医学や健康づくりの分野では「食事療法」を意味します。

 食事療法の内容はさまざまです。太りすぎている人は肥満の解消がダイエットの目的になります。逆にやせすぎて不健康な人は体重を増やすことがダイエットの目的になります。

 先進国では肥満が健康にとって大きな問題になっています。ここでは「ダイエット」と言うとき、この肥満を解消し理想的な体型を手に入れる方法をさします。自分自身に合った、無理なく続けられる「自分のダイエット」を見つけて下さい。


★噂のダイエットを検証
★体脂肪Q&A
★自分に合ったダイエットプランを見つける
★体脂肪を落とし、筋肉をつけるエクササイズ

失敗から学ぶダイエット
     これってホント?
@食事を抜いて1日2食!

A水太りするので、水は飲まない!

Bごはんは太るので、食べない!

Cサウナスーツでランニング!とにかく汗をかく!

D野菜サラダ中心の食事にする!

E食事は簡単なものでサッと済ませる!

Fサプリメント中心に食事を組み立てる!

G太るのが怖くてタバコをやめられない!

H1ヶ月に5kg減量を決意!

Iお腹を引っ込ませるためにセッセと腹筋運動!

Jとにかく体重を落としたい!

K完璧なダイエット・プログラムを立てる!


食事を抜いて、1日2食!
 食事回数を減らすことで、1日に必要な栄養素を十分摂取することができなくなります。1食抜くと、ほぼ確実に不足する栄養素が出てきます。特に水溶性ビタミン(ビタミンB群、C)は、まとめて摂っても過剰な分は排出されてしまいます。
 この不足状態が長く続くと、
健康に悪影響をおよぼすことになります。特にビタミンB群、Cの不足は疲れやすくなり、お肌にとっても大敵です。全体の食事量を減らしているときは、栄養素が不足しないように注意しなければなりません。

 食事回数が少ないほうが、脂肪を貯蔵する働きがおこり、体脂肪が蓄積されやすくなります。また、食事を摂ることでもエネルギーが消費されるので、減量するときも食事の回数は減らさず、1回に食べる量、1日の摂取エネルギーを抑えるようにします。毎日ガマンして食事回数を減らすことは、長続きしません。


水太りするので、水は飲まない!
 「水太り」という言葉ですが、水で太ることはありません。体の水分量が正常範囲を超えるのは、肥満ではなく「むくみ」です。その原因は、塩分の摂りすぎ、カリウムその他のミネラルなど栄養素の不足、排尿・排便の不良など、水分の摂りすぎとは別のところにあります。

 体重を増やさないために水をガマンするのは、体にとって危険な状態をまねきます。体は50〜60%が水分で占められ、1日に約2.6リットルが排便や皮膚・息からの蒸発によって失われます。水分を食事や飲み物から補わなければ、体の水分バランスは崩れてしまいます。人間の細胞は水分に満たされた状態で活動しており、水分が不足すると、重要な機能(老廃物の排出など)がうまく働かなくなります。食事制限中は、食べ物からの水分が減っています。水分は控えるのではなく、積極的に摂るようにすべきです。


ごはんは太るので、食べない!
 実はごはんはダイエットに向いているのです。ごはんは脂質が少なく、食パン1枚(6枚切1枚分)2.6gに対して、ごはんお茶わん1杯(150g)0.4gです。またパンに合うおかずは油を使ったものが多く、ごはんの場合は納豆や干物など油を使わないおかずにも合います。

 ごはんも食べ過ぎれは、エネルギー過剰となって体脂肪として蓄積されます。ですが、ごはんは腹持ちがよく、糖質以外の栄養素や食物繊維も含んでおり、エネルギー源として非常に優れています。摂取エネルギーを抑えようと考えているならば、脂肪を多く含む食品を減らすことがまず先決。

サウナスーツでランニング! とにかく汗をかく!
 汗をかくことで一時的に体重が減るのは確かです。水分を補給すれば、また元に戻ります。減った体重の大半は水分であり、体脂肪ではない。水はエネルギーがないのて、水の出入りによる体重の増減はダイエットの成果ではない。

 暑い中でサウナスーツを着て運動すると、大量に汗をかいて脱水状態になり、体温が上昇した状態が続くので、熱中症などの
危険な状態になる。水は健康を維持するうえで非常に大切な役割を担っています。
 ダイエットの運動としてランニングをする際は放熱性、吸水性に優れた、体温調節ができるウェアを選び、水分を適時補給しましょう。


野菜サラダ中心の食事にする!
 さまざまな野菜を食べることはビタミン、ミネラル類、食物繊維などが豊富に摂取できます。しかし、野菜サラダ中心の食事で摂取エネルギーを抑えるのは問題があります。

 @野菜にはたんぱく質や炭水化物はほとんど含まれないものが多く、摂れるビタミン・ミネラルにも偏りが生じます。これが長く続くと健康に悪影響が出てきます。
 A味付けに使うドレッシングやマヨネーズには油が多く含まれ、脂質を摂り過ぎる可能性があります。しかも、ドレッシングでは脂質以外の栄養素があまり期待できません。


食事は簡単なものでサッと済ませる!
 食事をサッと済ませても、摂取エネルギーが低いとは限らない。早食いするがゆえに、よりたくさん食べている可能性があります。
 食事をすると脳の食欲中枢のひとつである満腹中枢が反応して「お腹がいっぱい」とサインを出します。そのサインが出るまで20分以上かかります。早食いをすると、満腹感を感じないまま、食べ過ぎてしまっていることが考えられます。

 同じ量を食べても、10分で食べるのと、30分で食べるのでは、満腹感の得られ方が違います。10分で食べた場合は、もっと食べたいという気持ちが残ります。30分で食べた場合は、20分以降に満腹中枢が刺激され、ある程度の満腹感が得られます。
 時間をかけて、よく噛んで食べることで食べすぎを防ぐことができます。

サプリメント中心に食事を組み立てる!
 サプリメント(supplement)は英語のsupply(=補う)を語源とした「栄養補助食品」を意味します。基本的には通常の食事で不足する栄養素を補助する食品のことをいいます。サプリメントだけで食事を組み立てるのではなく、あくまで主体は普段の食事とし、食事でどの栄養素が不足しているか知ることが第一です。

 病気の予防や健康づくり、スポーツ・パフォーマンスの向上などで、日ごろから不足しがちなものを定期的に摂取した方が良いでしょう。
 食事が摂れないときのエネルギー源として糖質を主体としたドリンクやゼリー、食事制限中に不足しがちな栄養素の補給にビタミン・ミネラルのタブレットがおすすめです。


太るのが怖くてタバコをやめられない!
 タバコのニコチンには体内の脂肪を分解したり燃焼させたりするときに必要な、脂肪分解酵素リパーゼの働きを著しく低下させる作用があります。しかし、喫煙に食欲を抑える作用があることも明らかになっています。

 禁煙するとニコチンの影響を受けていた胃や舌が健全になり、食欲が出ます。「タバコをやめたら食事がおいしく感じられる」という声を聞くでしょう。また、1日に24本のタバコを吸うと、エネルギー消費量は10%増加します。

 タバコを止めたときには、この10%のエネルギー分を節食するか、また、運動などで消費しないと、体脂肪の増加につながることになります。禁煙をきっかけに、この10%分を考えてダイエット計画を立てるのが良いでしょう。


1カ月に5kg減量を決意!
 急激に体重を落とす場合、絶食などのムリな方法をとりがちです。これには大きな問題があります。そのひとつは、健康上の問題です。
 減量のスピードが速すぎると、体は大きなダメージを受けます。コンディションを崩し、病気にもかかりやすくなります。体重を急激に落とすと、体重減が体脂肪の減少だけでなく、その大半が水分だったり、筋肉や骨密度までも大幅に落ちてしまいます。

 ダイエットで減らすのは余計な体脂肪であって、体に必要なものを減らすのは避けなければなりません。筋肉を失うと、基礎代謝も下がって、エネルギーを消費しにくい体になり、太りやすくなり、リバウンドが起こりやすくなります
 もうひとつ精神的な問題もあります。極端な食事制限を短期間、集中的にすると、精神的にかなりガマンを強いられます。ストレスがたまりやすくなります。
 健康に影響しない範囲で減量していくスピードの目安は1週間に0.5kg程度といわれています。


リバウンドはなぜ起こる?
 人間の体には体脂肪の量を一定に保とうとする機能があります。短期間に痩せようとする一方で、元の状態に戻そうとする働きが起こり、エネルギーの不足を体は危険と察知し、消費エネルギーを節約してできるだけ貯めておこうとします
 その状態でダイエットをやめ、元の食事に戻したとき増加するのは体脂肪です。失った筋肉や骨が元に戻るわけでもありません。
 こうしたリバウンドを繰り返すうちに、筋肉や骨が減っていき、体脂肪が増えていきます


お腹をひっこませるために、せっせと腹筋運動!
 お腹のたるみは体のなかで最も気になる部分ですが、腹筋運動だけでお腹のたるみは取れません。体の一部だけを「部分やせ」することはできないのです。
 体脂肪はジョギングなどの有酸素運動によって全体的に減っていきます。腹筋運動は体脂肪を燃やすのではなく、お腹の筋肉を鍛えるための運動です。

 お腹の体脂肪を落とすには有酸素運動と減量のための食事制限が決めてです。ただし、腹筋を鍛えると、ある程度は腹部を引き締める効果が期待できます。腹圧の低下が、お腹が出る要因のひとつなので、腹圧を高めるために腹筋を強化することは大切です。


とにかく体重を落としたい!
 「5kgやせた!」と言うと、体脂肪が落ち、体が引き締まったように感じます。しかし、減量した量よりその中身が重要です。体重を5kg減らすことをダイエットの目標にした2つのケースを比較して見ましょう。
ケースA
ダイエット開始前の体重 60kg。朝食を抜くなどして摂取エネルギーを減らし、1カ月で5kgの減量を達成。運動は特に行っていない。体脂肪率は28%から26%に低下
ケースB
ダイエット開始前の体重 60kg。栄養バランスのとれた食事を1日3回摂り、摂取エネルギーは通常より200〜300kcal少なくした。有酸素運動やウエイト・トレーニングを週に3〜4回行い、10カ月で5kgの減量を達成。体脂肪率は28%から18%に低下
 どちらのケースも5kgの減量に成功しているわけですが、問題は減量の中身です。Aの場合、体脂肪が2%減っているだけなので、5kgの減量のうち、体脂肪が減ったのは1.2kg(60Kg*0.02)です。残りの3.8kgは除脂肪体重が減っていることになります。
 つまり、この3.8kgのなかにはかなり筋肉の損失が含まれていることになります。

 Bの場合、体脂肪率が10%も減っているので、体脂肪による減少は6kg(60kg*0.1)です。実際の減量は5kgなので、プラス1kg分は除脂肪体重が増えたことになります。
 つまり、ウエイト・トレーニングによって筋肉がついたと考えられます。体重だけを目安にしていては、減量の中身がわからず、不健康な状態を見過ごすことにもなります。


完璧なダイエット・プログラムを立てる!
 「やるからには徹底してやる」と言う意気込みが、実は失敗につながっていることは少なくありません。食生活を一新し、体に良いとされるものを徹底して摂るように計画を立てる。減量に必要なことは何でも盛り込んでおく。完璧なプログラムを作ろうとする。
 ここに落とし穴があります。そのプログラムを実際に続けられるかが問題です。

 ダイエットは数週間や数カ月の短期間ではなく、長期的な展望を持って取り組む必要があります。 厳しいダイエット・プログラムは、短期間ならガマンできますが、長期間続けられないのが一般的です。

 カロリー・コントロールも計算が面倒になって、ダイエット・プログラムを投げ出しては目標を達成できません。今の自分にとってムリのない、継続できるプログラムを立てることが大切です。


カロリーとエネルギーの違いは?
 食べ物から得たエネルギーを体内で生命活動のエネルギーに変換、消費して生活しています。このエネルギーを熱量換算し、それを計る単位が「カロリー」です。
 しかし、最近では「カロリー」と「エネルギー」が同じような意味で使われています。「低カロリー」「カロリー計算」という言葉も、正しくは「低エネルギー」「エネルギー計算」ということです。