成人病が気になるあなたへ
食べ物、食べ方でこんなに違う
@朝食はパンにしている人は、ここに気をつける

 
単身赴任で一人暮らしをしている人や、独身の人たちは、どうしても朝食が貧しいものになりがちです。駅の近くの立ち食いの店でウドンやソバをかき込んだり、夜、コンビニエンスストアで買ってきたパンなどにバターを塗って、飲み物はインスタントコーヒーだけなどというのが、だいたいの朝食のレパートリーになってしまうのです。
 こうした朝食は栄養のバランスが悪く、体にとってあまりいい食事ではない。医学的な観点からしてみれば、やはり
朝食はご飯に味噌汁、魚の干物とノリといったところが食卓に並ぶのが理想的です。
 なぜ私がこうした朝食が理想的かというと、何よりもお米には想像以上にタンパク質がふくまれているのです。この点、一般に炭水化物として分類されるソバ、ウドン、パンよりもはるかにバランスのとれた食品なのです。さらに長所をあげると、
お米には繊維が豊富なことです。
 最近は朝食をパンにする家庭がほとんどのようですが、お米の優れた点を忘れて、いたづらに洋風の食事にするのは考えものです。もっとも、洋風といっても一般の家庭のように
チーズやバター、野菜サラダ、果物のジュースなどをバランスよく食べていれば心配ないでしよう。問題なのは、ジャムを塗ったトーストにコーヒーだけとか、スパゲッティだけでついつい食事をすましてしまうことです。また、肉や野菜など具の少ない立ち食いの麺類も同様です。
 こんな場合、タンパク質と繊維は確実に不足する。お米のご飯を食べるときよりも、肉や野菜、イモ類でおぎなう必要がある。その点格好の素材として、スルメを食べるのも悪くない。
スルメは良質の高タンパク食で繊維もあり、たとえばポン酢とマヨネーズなどで食べるとおいしいものです。
 ロシアのコーカサス地方は、世界的に長寿の村が多いことで有名ですが、その原因は清澄な空気と適度な労働もさることながら、最大の要因はやはり食事内容です。このあたりは、穀物としてはパンを食べる地方だが、十分精製されていない粉を使ったものです。また各家庭ではヤギを飼っていて、毎朝絞りたての乳を飲んでいます。また松の実やクルミなどの木の実をよく食べています。したがって、高タンパク質で繊維の多いバランスのとれた食事となっています。成人病に悩む人がほとんどいないのもうなずけます。
 ついついソバやウドン、パンですませている人は、おおいにコーカサスの人たちを見習う必要がありそうです。


A朝食をとれない人でも、牛乳1本は飲むべきだ
 しばらく前小学校や中学校で朝礼のとき生徒がバタバタ倒れて話題になったことがあった。原因を調べてみると、倒れた生徒のほとんどが朝食抜きだったそうだ。この朝食抜きの傾向は、小、中学生のみならず、サラリーマンにも多くなっている。通勤に時間がかかる、朝はギリギリまで寝ていたい、前の日の夜食---などの理由があげられるのでしょうが、朝食抜きのツケは必ずまわってくる。
 一日の活動を始める肝心の朝に食事を摂らないと、血液中のブドウ糖が少なくなるため、血糖値が下がってくる。人間の体をつかさどる脳細胞のエネルギー源はブドウ糖だけだから、それが不足すると、冷や汗や悪寒、場合によっては意識を失って倒れてしまうような事態を引き起こすのです。
 また
朝食抜きの生活を続けていると肥満になることが多い。というのは、空腹時間が長いほど、組織の脂肪合成能力が高まり、できるだけ体に脂肪を蓄えようとするからです。つまり、エネルギーの浪費を避けるため省エネ型の体になるわけです。
 これは一種の防衛本能で、山などで遭遇したときには、その本能がいかんなく発揮されるのです。さらに
空腹時にコーヒーを飲んだり、タバコを吸ったりすると胃潰瘍や胃ガンにもなりやすい
 朝食というのは、一日の活動を始めるにあたって、とても大切なものである。
 だから、後でも話すが、朝食と夕食のメニューをとりかえ、朝食にステーキを食べるくらいのほうが体にとってはいいのである。
 時間がないとか、食欲がないという理由で朝食がとれない人は、
無理してでも牛乳の1本くらいは飲んでほしい。栄養の面からいえば、これにバナナなどの果実をくわえると、さらに良いことは言うまでもありません。
 牛乳を飲むと下痢をしやすい人は、下痢を引き起こす成分のない牛乳もあるので、ぜひ実行してほしいものです。