成人病が気になるあなたへ
食べ物、食べ方でこんなに違う
D食事時間は短くても、こうすれば消化能力はアップする
 私たちが子供のころは、母や祖母に「ご飯はよくかんで食べなさい」と耳にタコができるほど言われたものです。それも道理で、食べ物はできるだけ細かく噛み砕いて胃へ送った方が、胃の負担が軽くなるからです。
 胃液の分泌をうながし調整しているのは副交感神経で、反対に胃の活動を弱めるように作用しているのが交感神経です。
 いずれも人間の意志とは無関係に働いている神経ですが、食事中も書類に目を通しているような仕事人間の場合、交感神経が緊張したままの状態であるため、胃腸の働きは悪くなるし、消化液の分泌も不十分となってしまうのです。
 そこで、ゆっくり食事をする暇のない人は気分よく食べることを心がけたい。
食事のときは、仕事のことをはじめ、胃腸に緊張感をもたらすようなことは忘れて、会話を楽しみながら明るい雰囲気で食事をすると、短い時間でも消化吸収はよくなります
 反対に新聞や雑誌を読んだり、テレビを見ながら食事をすることは、好ましいことではありません。どんなに仕事が忙しくても、食事どきぐらいは余裕をもった明るい気持ちでいたいものです。

E早食いを気にするより、食後の”いっぷく”に気をつかえ
 「早メシ、早グソ、芸のうち」という言葉がある。早メシが美徳とされていた時代もあった。その名残が現代のサラリーマン社会にも、まだまだ残っているようです。
 おそらく、
日本人は世界中でもっとも早食いの民族と言っても間違いないでしょう。フルコースに二時間以上もかける欧米人はもとより、中国人もインド人も、日本人よりはゆっくり食べています。その理由は、日本人がせっかちだからというだけではない。もともと和食というのは、動物性タンパク質や脂肪分が少なく繊維質の食べ物が多いため、よく噛んで唾液を混ぜるという作業を多少おろそかにしても、それほど胃腸に負担をかけなかったのです。
 したがって一般的にいえば、クセになっている早食いをそれほど気にかける必要はあるません。むしろ、食後の”いっぷく”に時間をかけてやれば、胃袋がきちんと消化してくれるのです。消火に一番いい方法は横になることですが、サラリーマンが昼食後、ゴロッと寝ることは、まず不可能でしょうから、
食後30分くらいは仕事をしないで、できれば新聞やテレビなども見ないで、楽な姿勢でくつろぐことです

F胃の調子が悪いからといって、おかゆを食べるのは逆効果
 ひと口に胃の調子が悪いといっても、いろいろな場合があるでしょうが、日本人に一番多いのが胃酸過多です。これは、胃の中がからっぽのときに分泌される胃酸が多くなるために起きる症状で、胸焼けやゲップの原因です。
 胃潰瘍のとき空腹になると胃が痛くなるが、食事を摂ると直るというkとがあります。胃酸過多の場合もまったく同じで、胃に食べ物を入れてやれば症状もやわらいできます。こうした場合、日本人は消化に良いということで、おかゆを食べることが多いですが、これは実は逆効果なのです。
 たしかに、おかゆは米がよく炊かれて消化しやすいように思いますが、
水分が多いため、かえって消化は悪いのです。胃酸過多で調子が悪いということは、十二指腸でも十分な消化液を分泌しなくなります。そんなときに水みたいなおかゆを流しこむと、胃や十二指腸はもちろん、小腸や大腸でも吸収されずに、ほとんど出てしまうという結果になるのです。胃の調子が悪いときは白身の魚、豆腐など高タンパクで消化のよいものか、柔らかなローストビーフやマッシュポテト、餅などの、いわゆる”腹もちのいいものを食べるようにするこです。