成人病が気になるあなたへ
食べ物、食べ方でこんなに違う
J和食党で塩分を摂りすぎの人は、味付けを工夫する
 塩分の摂りすぎが、高血圧、脳卒中の原因になるということで、最近スーパーの食品売場には”減塩食品”がたくさん並んでいます。減塩醤油、減塩味噌、減塩漬物などです。
 
醤油、味噌、漬物は、まさに塩分の多い食品の代表ですが、これらは日本料理の”味”の根本といってもいい食品でもあります。たとえば、味噌汁の味噌を減らせば確実に塩分の摂取も減るが、それと同時に”味”が犠牲になってしまう。酒飲みは言うまでもなく、多くの日本人は、これらの食品から塩分を減らすことに抵抗を感じるでしょう。
 そこで、減塩した料理を食べる時は、おいしく食べる工夫をいたいものです。
一番簡単にできるのは、香辛料による味付けの工夫です。コショウ、唐辛子、パプリカなどの香辛料は、あまり大量に食べさえしなければ、体に対する悪影響もなく、塩味をうすくした場合の”味けなさ”を補ってくれます。
 人間の味覚は、辛さと塩辛さを混同することが多いから、塩辛くはなくても、辛ささえあれば塩がついているような感覚になるものです。
 たとえば、辛さで有名な朝鮮料理のキムチなどは、日本の漬物ほど塩分を含んでいません。また、スパゲッティによく合うタバスコも同様です。カレー粉なども、工夫しだいで広く料理に使うことができる香辛料です。
 そして、この少量でもピリッと辛いところが、塩分を主体とする日本の調味料とちがう点です。和食にも辛子やワサビがよく使われますが、こちらは醤油と一緒に混ぜられるため、味付けの香辛料としては減塩効果は少ない。
 カレーがインドで発達したことからもわかるように、
香辛料は香りと味をだしてくれるとともに、防腐作用や殺菌作用も持っています。魚の生臭さを消し、食欲を増進させてくれる調味料でもあります。塩分を減らすために大いに活用していただきたい。


Kコレステロールの多い食べ物の好きな人の食事法
 動脈硬化、高血圧の元凶と、あまり言われすぎたためか、コレステロールという成分は悪いものであるかのような印象をもたれているようです。しかし、コレステロールは摂りすぎると害になるが、反面なければ困る重要な成分でもあることも知っておく必要があります。
 たとえば、コレステロールが多く含まれている食品といえば、卵や乳製品、肉などがありますが、これらの食品は、あらゆる栄養素を含んでいて、私たちの食生活には欠かすことができません。もしも、コレステロールを嫌うあまり、こうした食品をいっさい敬遠してしまうと、肝心な栄養のバランスが崩れてしまいます。そのうえ、食事を味合うという楽しみが、まったくなくなってしまうでしょう。そんなことにならないためには、たとえコレステロールの多い食べ物を摂っても、吸収率を下げる方法を考えたほうが、はるかに良いのです。
 実際、
コレステロールの吸収率を下げる方法があるのです。繊維食を食べると、コレステロールの吸収を妨げることが明らかになっています。サツマイモやジャガイモなどの繊維は、”腸を掃除する食べ物”などといわれ、栄養とカロリーの補給と同時に、腸の働きをよくし、便秘に良いとされています。ところが、こうした食物繊維が、実は腸内で脂肪の吸収を阻害して血液中のコレステロールを低下させるという働きをもっていることは意外と知られていません。
 繊維食には、イモ類や穀物のほかに、海草やキノコ類、キクラゲなどがあります。そして幸いなことに、こうした食品にはビタミンやミネラルなども豊富に含まれており、その意味では、繊維食は成人病予防のためには格好の食べ物といえるでしょう。
 ひと口にコレステロールといっても、血管の壁にへばりつく悪玉と、逆にそれを溶かす善玉とがあります。いちがいにコレステロールを減らせば良いのではなく、善玉を増やすように心がけることが大事です。そこで繊維食とコレステロールの多い食べ物を組み合わせれば、カロリーとコレステロールのバランスのとれた栄養を摂ることができます。
 
コレステロールを摂らないようにすると、タンパク質が不足して全体の栄養が悪くなるし、ホルモンのバランスが崩れたり、脂肪の消化がうまくできなくなったりします。そうしたコレステロールの二面性を理解して、バランスのとれた食生活をしたいものです。
 とくに年をとった場合、体の基本的な抵抗力は落ちる傾向にあるのですから、むしろコレステロールを気にせずに高栄養食を食べたほうが賢明とさえ言えるほどです。一例をあげると、日本人の平均よりも高コレステロール食を摂っているハワイの日系人は、じつは平均寿命が日本人を上まわっています。いたずらにコレステロールを心配することはないのです。