成人病が気になるあなたへ
食べ物、食べ方でこんなに違う
N飲酒後のお茶漬けが好きな人は、栄養のバランスに注意
 
酒の好きな人は、どうしても胃弱になりがちで、酒を飲んだあとお茶漬けをサラサラと流し込んで、夕食のかわりとすることが多い。また二日酔いの朝などは食欲がなく、お茶漬けだけで食事をすませてしまうことが意外に多いものです。
 一般にお茶漬けというのは、栄養のない食事とされています。たしかに、市販の”お茶漬けの素”をご飯にふりかけ、お湯を注ぐだけでは栄養分は少ない。ご飯のデンプン質と塩分だけで食事をすませていたのでは、体調もいつのまにかおかしくなってしまうに違いありません。
 そこで、お酒が好きでお茶漬けを食べる機会の多い人は、ちょっと工夫して、いろいろな材料を入れるようにしたい。数多くの具を加えると、お茶漬けもグッと栄養価の高い食事に一変します。例をあげれば、
カルシウムの豊富なシラス干し、カルシウムや鉄分たっぷりのワカメ、高タンパクのタラコ、さらに梅干やゴマなどを加えると、日頃、不足しがちな栄養分をかなり補給できます。
 ただ、問題があるとすれば、ついつい塩分の多いものに偏りがちになることです。けれども、この塩分も市販のお茶漬けの素さえ使わなければ、けっして摂りすぎるということはありません。要は、お茶漬けを腹を満たす手段と考えずに、一回分の食事として扱うことです。
 お茶漬けの評価が今日のように低くなってしまった原因は、お米の栄養に対する過小評価であり、また、よく噛まずに胃袋に流し込むところにも、その一因があるでしょう。だが、それも、いろいろな具を入れる工夫をすれば話は違ってきます。
 また、お茶漬けは海藻類を食べる絶好のチャンスです。最近のように食事の洋風化が進むと、肉やバターはふんだんに摂れますが、日本人が昔から食べてきた海の幸がおろそかにされることがあります。
ノリ、コンブ、ヒジキ、ワカメなどの海草は、100グラム当たりでいうと、牛乳よりもカルシウムや鉄分が多いのです。
 こうした海草は干したものの方が主流になっていますが、生ならなお栄養価は高い。というのも、乾燥したものは成分が酸化されるため、ビタミンが壊れてしまうからです。できれば、生ワカメをふんだんにお茶漬けに入れたい。
 
ワカメには、カロチン、ビタミンB1、B2、そして大量のヨードが含まれています。ヨードは毛髪の栄養になるだけでなく、体の代謝を高める働きもあります。さらにホルモンの活動を活発にして、体の脂肪を減らす効果もあります。このように、お茶漬けの具に適した食品には高栄養食品が少なくありません。胃弱で、どうしてもお茶漬けを食べる機会の多い人は、何よりもまず食べ方を工夫してみることです。

O肉や魚がダメな人は、スルメでタンパク質を補給する
 
最近、若者の間で、和食がちょっとしたブームになっていると言う。日本の若者のコレステロール値が急激に上昇して、アメリカの同世代の平均値を上まわっているという研究報告もあるほどですから、健康を考えるならば、この和食ブームはけっこうなことです。
 栄養学的にみた場合、洋食と和食の大きな違いは、タンパク質を何から摂るかということでしょう。洋食なら当然その供給源は肉ということになるし、和食ならやはり魚です。本来、日本人は魚からタンパク質を摂っていたのですが、食生活の急速な西洋化によってタンパク質の供給源は肉に移行してきました。
 しかし、肉と魚のタンパク質の栄養価がまったく同じであるとすれば、
血管の老化を防ぐ分だけ魚のタンパク質の方が体に良いのである。
 牛や豚などの肉の脂肪は、血液中のコレステロールを増やす飽和脂肪酸を多く含んでいます。それに対して、
魚は同じ脂肪でも、コレステロールを低下させる多価不飽和脂肪酸を多く含んでいるのです。この不飽和脂肪酸は、血管を広げたり、血栓をできにくくしたりする作用があるため、血管の若さを保ち、動脈硬化を防ぐには持ってこいなのです。
 

したがって、「肉が食べられない」といって悩む必要は、まったくないことになります。ただ、問題は肉も魚もダメ、という場合です。タンパク質は、人間の体を構成する重要な成分ですから、必ず何らかの形で摂る必要があるのです。
 そこで、たとえばスルメです。スルメを焼いて細く切り、料理に入れる。これだけで、かなり良質のタンパク質を摂ることができます。ほかにも、卵やちりめんじゃこ、豆腐など植物性タンパク質を摂ることによって、動物性タンパク質の不足を補えるはずです。
 禅宗のお坊さんは、まったく動物性タンパク質を摂らない戒律がありますが、それでも健康で長寿です。
味噌汁、豆腐など、豆からのタンパク質でけっこう栄養は補えるのです。